SMMは、国内鉱山が閉山を迫られていた1960年代初めから海外鉱山の開発に取り組んできました。これまでに築き上げた非鉄メジャーと呼ばれる海外鉱山会社との友好なパートナーシップにより、多くの海外鉱山で権益を獲得するなど、SMMは非鉄資源の獲得で着実に成果を上げています。たとえば銅事業では、米国のモレンシー鉱山、チリのラ・カンデラリア鉱山、豪州のノースパークス鉱山、インドネシアのバツ・ヒジャウ鉱山などの権益を取得しており、その結果、SMMの自山鉱比率(銅製錬に必要な鉱石量に対して、海外銅鉱山への出資により既に権益として獲得している鉱石の比率)は40%に達しています。
SMMは自らの技術によって「資源を掘り当てる」ことにも注力しています。SMMの資源事業は、元禄4(1691)年に開坑して以後283年間にわたって銅を産出し続けた別子銅山をはじめとして、多くの鉱山開発を手がけてきた伝統的な事業です。現在SMMが鹿児島県に保有する「菱刈鉱山」は、世界有数の高品位と国内歴史上最大の産金量を誇る金鉱山で、1985年の生産開始以来165.7トン(2008年3月末現在)もの金を産出してきましたが、現在確認されている埋蔵量から計算すると、全体のまだ半分程度しか掘り出されていないという豊富な埋蔵量を有しています。この菱刈鉱山で培われた技術は、SMMが積極的に進めている海外鉱山の開発に生かされています。米国アラスカ州で開発を進めてきた「ポゴ金鉱山」は、SMMが自ら探鉱し、当社として初めて海外で主導権を握って開発に着手した金鉱山で、2006年2月から生産を開始しました。
今後もニッケルを含む非鉄金属資源の開発を積極的に推進し、「非鉄メジャークラス入り」を目指していきます。
16世紀の創業以来400年にわたり資源開発とその応用技術を深め、非鉄金属の総合メーカーとして事業を営んできた住友金属鉱山(SMM=SUMITOMO METAL MINING)。SMMは優れた製錬技術により、安定した高品質の金属素材を提供しています。海外自山鉱と世界に張り巡らせたネットワークから安定的に調達される鉱石原料は、技術開発や工程改善などのたゆまぬ努力により高い生産性を誇る国内製錬所で、金、銅、ニッケル、亜鉛など、それぞれの金属地金に生まれ変わります。SMMは非鉄製錬の分野において新たなプロセスの開発にも果敢に挑戦してきました。貴金属では新プロセスの導入により、従来からの方式では回収できなかったIr、Ru等の白金族の製造に成功しています。またニッケルでは、従来技術的に難しいとされていた低品位鉱石からのニッケル回収を世界に先駆けて商業化に成功するなど、SMMは製錬技術で業界をリードしてきました。SMMは独自の技術によるアプローチで、非鉄製錬のトップメーカーを目指しています。
なお、グループ会社の住友金属鉱山伸銅㈱(東京都台東区)は伸銅品の製造販売を、㈱アシッズ(東京都港区)は硫酸の販売を行っています。
金は、宝飾品、投資対象のほか、化学的に安定していることから、電子材料、歯科材料、めっき材料として広く使われます。SMMは、世界でも有数の品位の高さと国内トップの産金量を誇る菱刈鉱山を有し、長年培ってきた製錬技術により高品位の金を生産しています。SMMは、世界的に権威のあるロンドン・ゴールド・マーケットの公認熔解業者として「ロンドン・グッド・デリバリー・バー」の認定を受けています。
電線からエレクトロニクスまで幅広い用途に利用され、電気文明を支えるベースメタルである銅。SMMの銅製錬技術は、慶長年間に住友家の業祖・蘇我理右衛門が開発した粗銅から銀を抽出する技術、「南蛮吹き」をルーツとしています。SMMはこの400年間にわたる経験を礎にして、さらに新たに導入した技術についてもたゆまぬ改善を図ってきました。これにより、主力製錬所である東予工場(愛媛県西条市)は、今日世界トップレベルの生産性を誇っています。東予工場の技術は中国でも生かされ、当社が資本参加している金隆銅業有限公司(安徽省)は、旺盛な銅需要を背景に生産量が伸びており、重要な拠点として年々その存在感を増しています。
ニッケルは、ステンレスをはじめとして電子・電池材料や航空宇宙産業などにも用いられ、先端産業を支えるメタルです。SMMは戦前からニッケルの製造に取り組み、戦後は1951年から製造を再開しています。現在は我が国唯一の電気ニッケルメーカーとして、湿式製錬法であるMCLE法(マット塩素浸出電解採取法)により世界最高水準の品質を誇る電気ニッケルを提供しています。また、2005年4月からは、HPAL法(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)という技術を導入し、従来では処理できなかった低品位鉱石を用いたニッケルの商業生産を、フィリピンにおいて開始しています。なお、(株)日向製錬所(宮崎県日向市)は、ステンレスの原料であるフェロニッケルを生産しています。
SMMはイギリスのISP社(Imperial Smelting Processes Ltd.)から導入した鉱石中の亜鉛と鉛を同時に製錬する技術により、播磨事業所(兵庫県播磨町)で亜鉛・鉛を製造しています。四阪工場(愛媛県今治市)では、製鉄会社から供出される製鋼煙灰とよばれる原料から亜鉛をはじめとする有価金属の回収を行っています。この四阪工場で生産された粗酸化亜鉛は播磨事業所へ送られ、亜鉛の原料となっています。なお亜鉛事業については、国際競争に打ち勝つという観点から、2002年に三井金属鉱業株式会社と事業提携を行い、エム・エス・ジンク株式会社を設立し、生産から販売までの一貫した共同体制を構築しています。