環境保全
海外での金属製錬事業の環境対応

豊かな自然環境に配慮しながらの操業

周辺に広がる美しい海

当社は2005年4月、フィリピン・パラワン島にて、ニッケル中間品の商業生産を開始しました(※1)。これまで活用できなかった低品位のニッケル鉱石(ラテライト鉱)を製錬する特殊な技術であるHPAL法(※2)を世界に先駆けて商業的に成功させ、限りある資源の有効活用に大きく貢献する道を開いたものです。この技術はエネルギー消費量が少なく、環境への負荷も少なくなっています。

コーラルベイ ニッケル製錬工場全景

同地は珊瑚礁の美しい海に抱かれており、環境関連の法規制等も大変厳しいところでしたが、製錬プラント建設にあたっては、計画段階からフィリピン政府、自治体、地元住民の方々と十分な話し合いを持ち、豊かな自然環境に配慮しながらの操業を実現しました。

  • フィリピン南西部のパラワン島南部リオツバ鉱山隣地。当社54%出資のコーラルベイ ニッケル社が操業。同社にはほかに、三井物産株式会社、双日株式会社、Rio Tuba Nickel Mining Corporation が出資。
  • High Pressure Acid Leach(高圧硫酸浸出)。低品位の酸化鉱であるラテライト鉱を硫酸で溶かして高温で熱し、高圧をかけることによって、ニッケルとコバルト分だけを液中に溶出する湿式製錬技術。

動植物の現状など基本データから収集

フィリピンで製錬プラントを建設するためには、同国の環境資源省からECC(Environmental Compliance Certificate)と呼ばれる資格を取得しなければなりません。ECCを取得するためには、さまざまな手続きが必要となります(※右図参照)。

まず取り組んだのは、ベースラインのデータ収集でした。水質、大気、動植物などの現状を調査しました。その後、プラントが操業した場合、これらのデータがどのように変化するかの予測を立てます。

こうしたデータをもとに、パブリック・ヒアリングを開きました。現地に居住する人々に集まっていただき、当社の計画と自然環境に与える影響、地元経済への貢献などについて説明するものです。その後、学識経験者7名による評価委員会が3回開かれました。こうした手続きを経て、環境に与える影響をまとめた最終リポートEIA(Environmental Impact Assessment )を環境資源省に提出しました。

また、パラワン州が独自に定めている法律に従い、州議員や首長、宗教関係者を構成メンバーとする「持続的開発のための委員会」での審議も受けました。公聴会も開かれ、地元の方々やNGOの方々などが参加されました。さらに、先住民の方々の了解を得たうえで、最終的に地元に居住する数千人の承諾書をいただきました。


工場および周辺での環境測定

定期的モニタリングの受け入れ

地方自治体等によるモニタリング

数年がかりでこうした手続きを踏んだうえで、2002年7月にECCを取得することができました。プラントの建設が始まってからは、環境資源省、自治体、NGOなどからなるチームによって3カ月に1回、定期的にモニタリングが行われています。水質、大気、動植物などのサンプル調査で、法律に定められたものです。

操業開始後もモニタリングは続いています。これまでモニタリングで異常が見つかったことはありません。また、これとは別に鉱山局による安全面のモニタリング調査も3カ月に1回、受けています。

一方、コーラルベイ ニッケル社では、社長直轄の組織として環境室を設け、プラント内だけでなく社員の居住区域を含めて独自に環境モニタリング調査を実施し、安全衛生面と環境面に細心の注意を払いながら操業しています。

万一の場合も想定しすべて対応策を講じる

プラントを建設するにあたっては、プロセス安全性評価手法としてHAZOP(Hazard and Operability Study)を採用し、従業員の安全確保を優先した設計にしました。さらに、長年の操業経験から酸性液の地下浸透防止、有毒ガス漏洩防止・除害等、安全・環境設計には細心の注意を払いました。たとえば、発電などに使われるボイラーで使用される石炭は、硫黄分の少ない良質のものを使用し、また電気集塵機を採用することによって排ガスを浄化しています。また、工程内で発生する有害ガスについては、除害塔(スクラバー)を3塔設け、有害物質を完全に除去しています。

プラント内の雨水、生活用水などの排水は、側溝を通って沈殿池(シルテーション・ポンド)に流れる仕組みですが、ここでは、常時温度やpHをモニターしています。

工程で発生する残物は、無害化した後にテーリングダムへポンプで送り、埋め立てる仕組みです。テーリングダムの容量は約1,000万立方メートルで、約10年間の使用が可能となっており、埋め立てが終了した後は、覆土して緑化する予定です。

一方、海岸においても美しい珊瑚礁を守るための工夫をしました。プラントで使用する硫酸とメタノールを受け入れるために、従来からあった洋上の突堤を沖合へと延長し船着場を新設し、ここから岸辺のタンクへパイプラインを通じて硫酸とメタノールを輸送します。このパイプラインは、珊瑚礁の保護に配慮して建設しました。


洋上にのびるパイプライン

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