2030年のありたい姿

11の重要課題とありたい姿

重要課題 1.非鉄金属資源の有効活用

当社グループは、天然資源の採掘から高機能材料の生産までを行い、その過程で扱う非鉄金属素材も多岐にわたります。技術的課題等で今まで利用できなかった資源の活用やリサイクル技術開発等を通じて有限な非鉄金属資源を無駄なく、より有効に活用することへのチャレンジは、当社グループの責務であると考えています。

ありたい姿とKPI指標および目標

高い技術力で資源を生み出す企業

  1. 非鉄金属を安定して社会へ供給する企業
  2. 産学官と連携したオープンな技術開発で、不純物を有効活用して社会に貢献する企業
  3. 非鉄金属の循環システムの構築と維持に貢献する企業
  4. 社会課題の解決に貢献する高機能材料の開発・供給を行う企業
KPI指標 目標
銅鉱山プロジェクトの推進
  • 銅権益生産量30万トン/年の達成と維持に向け、JV鉱山の生産体制を強化
  • JV鉱山における鉱山周辺および深部探鉱の強化、選鉱能力の拡張、IoT・AIを活用した操業改善等による着実な銅生産量の達成
  • ケブラダブランカ銅鉱山Phase2以降のプロジェクト推進
新規優良銅金資源の獲得
  • オペレーターシップを持つ新規鉱山の開発
新技術導入による生産性改善
  • 菱刈鉱山における坑内外の情報インフラ設備、重機の無人化、リモート化の推進
Ni鉱プロジェクトの推進と生産性の改善
  • Ni生産量 15万トン/年
  • 実収率 対2018年度比+2%
  • 副産物スカンジウムの回収
  • 副産物クロマイトの回収
鉱山や製錬工程で発生する不純物を分離、固定、有用化する技術の開発
  • 不純物を固定する技術開発:プロセスの開発と実証
未利用非鉄金属資源の有用化技術の開発
  • 既存(海洋資源開発等)・新規の開発プロジェクトへの貢献
難処理資源からの非鉄金属回収
  • 高不純物塩湖水からのリチウム回収技術と回収ビジネスへの参画
車載二次電池リサイクル技術の実証と事業化
  • コバルト回収が可能な車載リチウムイオン電池リサイクル技術実証ならびに事業化および規模拡大
  • プレ商業プラントの試運転と操業開始:2026年度
自社の強みを活かし社会に貢献する新製品・新事業の創出
  • エネルギー、自動車、情報通信分野での新規機能性材料の研究開発、事業化
自社原料保有による有利・安定調達
  • 燃料電池用NiOの実証試験を経て事業化
有利な自社ニッケル原料の安定調達による、低コスト電池正極材の販売拡大
  • 拡大する正極材料市場で、世界シェアトップクラスを維持

重要課題 2.気候変動

社会から企業に対する温室効果ガス(Greenhouse Gas: GHG)削減の要請は非常に高く、また気候変動による事業リスクも増大しています。一方、当社グループが生産する電動車向け二次電池材料や近赤外線吸収材料CWO®といった低炭素負荷製品の社会への安定供給によりGHG排出量削減への貢献が期待されます。

ありたい姿とKPI指標および目標

温室効果ガス(GHG)排出量ゼロに向け、排出量削減とともに低炭素負荷製品の安定供給を含めた気候変動対策に積極的に取り組んでいる企業

KPI指標 目標
GHG排出量の削減
  • GHG排出量を2015年度比38%以上削減(国内50%以上、海外24%以上)、“2050年までにGHG排出量ネットゼロ”に向けた諸施策を推進する
  • GHG排出原単位を2013年度比26%以上削減
  • 低炭素負荷製品GHG削減貢献量の拡大 600千t-CO2以上

見直し中

重要課題 3.重大環境事故/4.生物多様性

当社グループは、資源開発や化学物質の使用等に際し、自然環境に悪影響を与えるリスクがあることを認識しています。重大な環境事故を起こさないことに加え、日々の操業管理においても水使用の合理化を含めた環境影響を最小限に抑え、生物多様性の保全に努めることは、事業継続の大前提であると認識しています。

ありたい姿とKPI指標および目標

水資源や生物多様性を大切にして海や陸の豊かさを守っている企業

KPI指標 目標
重大環境事故 ゼロ
  • リスク・環境マネジメントシステムの活用による改善の推進
  • 自然危険源の増大に対応した設備やインフラの強化・改善
有害物質排出量低減(対前年)
  • 水使用の合理化、大気・水域への有害物質の排出量の低減
  • 計画的植林ほか、多様な環境保全・生物多様性保全活動の推進

重要課題 5.従業員の安全・衛生

業務に起因する災害、疾病を防ぎ安全安心かつ快適な職場環境の維持・改善に努めることは、経営の責務であるとともに従業員のモチベーションと生産性の向上につながります。当社グループは職制による管理を基本として、設備の本質安全化や安全教育等を通じ従業員の安全・衛生の確保に努めています。

ありたい姿とKPI指標および目標

快適な職場環境、安全化された設備と作業のもと、すべての従業員が、ともに安全を最優先して仕事をしている企業

KPI指標 目標
労働災害の発生防止
  • 重篤災害:ゼロ(国内外、協力会社含む)
  • 全災害:対前年減少、最終的にゼロを目指す
業務上疾病の発生防止
  • 健康リスクの高い作業場数:対前年削減
  • 業務上疾病の発生:ゼロ

重要課題 6.多様な人材/7.人材の育成と活躍

当社グループの成長の源泉は従業員です。個性と多様性を尊重し、皆がそれぞれの強みを発揮し、活き活きと活躍できる「自由闊達な組織風土」を当社グループは目指しています。ビジネスのグローバル化やDXの急速な進展等により、専門性を背景として自ら考え行動できる人材を育成することが経営上の課題です。

ありたい姿とKPI指標および目標

すべての従業員が活き活きと働く企業

  1. 従業員一人ひとりの人間性を尊重し、 従業員が誇り・やりがい・働く喜びを持てる企業
  2. 従業員一人ひとりに能力向上の機会を提供し、従業員とともに成長する企業
KPI指標 目標
働き方改革の推進とデジタルテクノロジー等を活用した、多様な人材が活躍できる職場づくり
  • 従業員意識調査の「経営者・上司のマネジメント」「仕事の魅力」「職場環境」に関する各スコアの向上
    ①女性管理職※数50人(SMM単体)
    ②女性従業員比率20%以上(SMM単体)
  • 総合職外国人※従業員の拡充
  • 障がい者雇用率3%以上(SMM単体)
  • 従業員のライフステージに対応した配置と支援
従業員の心身の健康づくりの支援
  • 長期休業者の減少
  • 健康診断結果の「有所見者率」50%以下
従業員ニーズ・業務ニーズを考慮した能力向上、機会の多様化
  • 上司と部下との定期的な対話を通じて、従業員一人ひとりのやる気や可能性を引き出し、部下の成長をさらに促進する「1on1ミーティング」の活用
  • 役割に応じた人材育成体系の再構築によって、より良い従業員への能力向上機会の提供(社内教育、外部派遣等)
  • 個々人のライフプランや従業員ニーズに合わせた自己啓発機会の提供(通信教育、Web教育等)

重要課題 8.ステークホルダーとの対話

当社グループは、社会的操業許可を得ることを事業継続の大前提としています。そのためには、可能な限り情報開示を進め透明性を高めるとともに、地域社会をはじめとするステークホルダーとの継続的な対話によって相互理解を深め、信頼関係を築くことが重要であると認識しています。特に開発によって先住民の方々の生活に影響が及ぶおそれのある場合は、開発に先立ち、文化や伝統や歴史を十分に理解し対話を重ねます。そのうえで、開発による影響が回避されるよう慎重に進める必要があります。

ありたい姿とKPI指標および目標

「世界の非鉄リーダー」であると理解され、共感される企業

KPI指標 目標
従業員への当社グループブランドの浸透
  • 従業員意識調査の改善(会社で働くことに誇りを感じる従業員割合の向上)
「世界の非鉄リーダー」レベルの情報発信および対話の質と量の確保
  • メディア、投資家との対話機会の拡充
  • 統合報告書の外部評価での高評価獲得
目指している「世界の非鉄リーダー」としての認知・理解の向上および共感を得ている
  • 社外機関調査結果の改善(認知度・理解度等)

重要課題 9.地域社会との共存共栄

当社グループは、社会的操業許可を得ることを事業継続の大前提としています。そのためには、可能な限り情報開示を進め透明性を高めるとともに、地域社会をはじめとするステークホルダーとの継続的な対話によって相互理解を深め、信頼関係を築くことが重要であると認識しています。特に開発によって先住民の方々の生活に影響が及ぶおそれのある場合は、開発に先立ち、文化や伝統や歴史を十分に理解し対話を重ねます。そのうえで、開発による影響が回避されるよう慎重に進める必要があります。

ありたい姿とKPI指標および目標

地域社会の一員として地域の発展に貢献し信頼を得る企業

KPI指標:対話と連携に基づく地域社会への参画 目標:地域社会との対話を通じて、地域の課題を正確に把握し、以下の施策を実行
従業員参加型の地域支援
  • 従業員参加プログラムの実施(2023年~)
現地雇用・現地調達
  • 継続実施と実績把握
次世代育成への支援
  • 行政や地域団体・NPOなどと連携した次世代育成プログラムの実施(1回/年以上)
  • 国内奨学金の設立と給付(既存の海外奨学金維持)(2023年~)
障がい者・高齢者への支援
  • 行政や地域団体・NPOなどと連携した障がい者・高齢者支援プログラムの実施(1回/年以上)
災害時支援
  • 大規模災害地域への支援

重要課題 10.先住民の権利

当社グループは、社会的操業許可を得ることを事業継続の大前提としています。そのためには、可能な限り情報開示を進め透明性を高めるとともに、地域社会をはじめとするステークホルダーとの継続的な対話によって相互理解を深め、信頼関係を築くことが重要であると認識しています。特に開発によって先住民の方々の生活に影響が及ぶおそれのある場合は、開発に先立ち、文化や伝統や歴史を十分に理解し対話を重ねます。そのうえで、開発による影響が回避されるよう慎重に進める必要があります。

ありたい姿とKPI指標および目標

先住民の伝統と文化を理解し尊重する企業

KPI指標 目標
先住民や先住民の伝統と文化の理解
  • 社内教育を実施したSMMグループ拠点の割合:2023年度末までに100%
先住民の伝統と文化の尊重につながる取り組みへの支援
  • 先住民を対象とする奨学金の実施(既存の取り組みの継続実施)
  • NGO、学会等が実施する先住民に関連する取り組みへの支援:年1件以上の支援

重要課題 11.サプライチェーンにおける人権

「ビジネスと人権」の観点から自社が関わるサプライチェーン全体における人権侵害防止へ強く取り組む要請が高まっています。当社グループの事業活動により、広範なサプライチェーンにおいて人権への負の影響をもたらすことのないよう、取引先と協働し持続可能なサプライチェーンの構築に取り組む必要があります。

ありたい姿とKPI指標および目標

サプライチェーン全体でサステナビリティ調達(Sustainable Procurement)に取り組んでいる企業

KPI指標 目標
サステナビリティ調達、特に責任ある鉱物調達の推進
  • 責任ある鉱物調達
    ①国際基準に合致した責任ある鉱物調達マネジメントシステムの確立:2021年度末まで
    ②サプライチェーン上での、児童労働等人権侵害に加担する鉱山および製錬所ゼロの維持
  • サステナビリティ調達(Sustainable Procurement)
    ①「住友金属鉱山グループサステナビリティ調達方針」を受領し同意した取引先企業:2030年度末までに100%
    ②国際基準に合致したサステナビリティ調達マネジメントシステムの確立:2024年度末まで
    ③デュー・ディリジェンス(DD)の継続実施