住友金属鉱山株式会社

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継ぎの脈を拡げよ BUSINESS ― プロジェクトストーリー ―

南の島にニッケル生産の新プラントを建設

低品位のニッケル酸化鉱から効率的にニッケルを抽出する「HPAL法」を用い、年間3万トンの生産をおこなうプラントをミンダナオ島に新設する「タガニート・プロジェクト」。辺境地での生活、予期せぬ天災、文化が違うローカルスタッフの育成……さまざまな難関を越えてプロジェクトを成功裏に導いたのは、若く意欲的な人材である。

  • 尾崎 佳智 金属事業本部
    海外プロジェクト推進室
    1994年入社
    工学研究科 化学工学専攻 修了
  • 平嶺 和也 工務本部
    生産技術部
    2005年入社
    工学研究科 建設社会専攻 修了
  • 内田 勇太 金属事業本部
    海外プロジェクト推進室
    2009年入社
    生命環境科学研究科 環境科学専攻 修了
  • 川島 桂太 金属事業本部
    ニッケル営業・原料部
    2007年入社
    社会科学系学部 卒
  • 高いプロセス技術、
    大規模な土木建設

    ニッケル生産能力15万トン――これは住友金属鉱山が長期ビジョンで掲げた目標のひとつだ。この目標達成へ向け大きなステップとなったのが、フィリピン・パラワン島での「コーラルベイ・プロジェクト」である(2005年より商業生産を開始)。これにつづくのがミンダナオ島での「タガニート・プロジェクト」である。
    プロセス設計にあたった尾崎佳智は「コーラルベイ・プロジェクト」にも携わった経験者だ。「ニッケル含有量が低く製錬する際のコストや技術的問題からあまり利用されてこなかった低品位のニッケル酸化鉱から、効率的にニッケルを抽出する「HPAL(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出)法」を用いたプラントです。すでにコーラルベイで設計性能どおりの生産がおこなわれており、プロセスそのものにはまったく不安はありませんでした。しかし、ミンダナオ島のプラントの規模はパラワン島のそれの3倍です。最初に計画を聞いたときは『物理的に作れるのだろうか?』と素朴に思いましたね」と述懐する。
    土木建築設計・工事を手がけたのは平嶺和也。住友金属鉱山入社当時から海外でのプロジェクトを意識していただけに「いよいよそのときがきた!」との意気が高まった。「低品位ニッケル酸化鉱を原料にするため、残滓が大量に発生します。それらを堆積させる巨大なダムを建設する必要があります。土木建築が担う役割は大きく、やりがいがあります」。

  • ニッケル事業の源流に位置する重要拠点

    平嶺は2012年4月にミンダナオ島へ赴任。フィリピン人スタッフを率いて建設工事の進捗管理をおこなった。もっとも苦労したのは予期せぬ天候の変化で、10日間で約2000ミリという異常な豪雨に見舞われたこともある。各所で斜面崩壊、水路洗掘が発生し、ダムの周辺環境が著しく悪化した。「雨が降りしきるなか復旧作業の陣頭指揮をしたことは忘れられません。操業中断につながりかねない緊迫した事態に日本人、フィリピン人一体となって対処し、短期復旧を果たすことができました」。
    設備を担当したのは内田勇太だ。建設を手がけるのはEPCコントラクター7社であり、内田はそのすべてを見渡して施工管理をおこなう。「一方的に指示するのではなく、お互いが専門的見地に立って活発に意見交換します。特に印象に残っているのは、インド人技術者と協力して大型ポンプ(総高7m以上)を6台設置したことです。互いが納得するまでとことん議論を重ねたおかげで、試運転まで滞りなくできました」。
    原料調達部門からは川島桂太が参加して、タガニートから日本への原料調達の側面からプロジェクトを支えている。「私はそれまで銅を担当しており、ニッケルに関わるのはこれが初めてでした。銅の原料は市場が大きいですが、ニッケルは原料から製品まで一貫したプロセスとなることが多いため、市場に流通する原料は限られています。自社で原料を確保できる体制が必要で、パラワン島とミンダナオ島はそのための重要拠点です」。

  • 世界に住友金属鉱山の技術力を示し、
    さらなる目標へ進む

    「タガニート・プロジェクト」は2013年6月にプラントが完成し運転を開始した。数々の難関はあったもののスケジュールどおりである。
    尾崎は言う。「コーラルベイに引きつづきタガニートでも、低品位ニッケル酸化鉱が商業生産規模の原料として活用しうることが実証できました。ニッケル資源のポテンシャルを増大させた意義は大きい。住友金属鉱山は名実ともにHPALのトップランナーとして認知されるようになりました。私個人としても海外で仕事ができる自信を持てましたね」。
    平嶺も今回のプロジェクトは自分を成長させる契機になったと感じている。「複数の請負会社を束ねる立場で、極力彼ら全員が納得できるよう裁量し、一つのチームとして団結できる空気の醸成をつねに心がけていました。リーダーシップとはどういうことか身に沁みてわかりましたね」。
    内田もプロジェクトを通じて得た国際的な人脈が、自分の大きな財産だという。「これからも世界中でさまざまな人種の人と一緒に仕事をしていきたいですね。住友金属鉱山にはそのチャンスがいくらでもある」と笑顔をのぞかせる。
    川島は「タガニート・プロジェクトはニッケル換算で年間3万トン体制を確立出来ました。しかし、住友金属鉱山のニッケル15万トン体制の構築はこれからが本番です」と気を引き締める。フィリピン以外のニッケル原料供給元を求め、海外へ出張も頻繁だ。ほかの3人もそれぞれ次の案件で活躍をはじめている。

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