住友金属鉱山株式会社

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継ぎの脈を拡げよ BUSINESS ― プロジェクトストーリー ―

長期ビジョン達成を後押しする銅鉱山の権益取得

モレンシー銅鉱山の権益追加取得のチャンス。
住友金属鉱山の先輩たちが30年かけて築いてきた相手とのパートナーシップがあってこその話であり、その信頼関係を大切にしながら、短期間での合意を目ざさなければならなかった。
部門・職種をまたいだメンバーが知恵を出しあって進めた案件。その中核メンバーの話を聞いた。

  • 福田 英一 SMM America Inc.
    バンクーバー事務所
    1986年入社
    理学部 地学科 卒
  • 武本 信也 Sumitomo Metal Mining Pogo LLC
    1997年入社
    工学研究科 資源工学専攻 修了
  • 佐藤 大輔 資源事業本部
    モレンシー鉱山駐在
    2009年入社
    工学系研究科
    地球システム工学専攻 修了
  • 山田 俊輔 総務法務部
    1997年入社
    社会科学系学部 卒
  • 宇都宮 慶一 経理部 資金グループ
    2008年入社
    社会科学系学部 卒
  • 短期間での契約締結という
    ミッション

    フリーポート・マクモラン(略称FCX)はアメリカ最大手の産銅企業として知られ、住友金属鉱山にとっては1986年以来、アリゾナ州のモレンシー銅鉱山を共同経営してきたビジネスパートナーである。
    保有する権益はFCX85%、住友金属鉱山および住友商事が15%だったが、FCXは2015年からポートフォリオ整理の一環として資産売却を検討。
    そのなかで、この鉱山の権益を住友金属鉱山が追加取得するプランが浮上した。交渉を担当した山田俊輔は、「どちらから持ちかけたということではなく、それまでの信頼関係のなかで追加取得の可能性が見出されました。
    当社にとっても、この案件がまとまれば、長期ビジョンのひとつとして掲げた年間銅生産量30万トン(権益シェア分)の実現に向けて大きなステップになります。ぜひとも良いかたちで成立させたかった」と語る。
    問題は経済的な条件だ。FCXと住友金属鉱山は長いあいだのパートナーシップで信頼はできており、互いがおこなう評価の正当性に疑念はない。ただ、銅の相場は刻々と変動するので、交渉に時間がかかるとその振れ幅によっては、条件を見直さなければならなくなる。
    正当な条件を模索する上で一番重要となったのがとなり、モレンシー鉱山の権益価値評価作業である。

  • 重要なのは駆け引き、
    確固たる決意が契約へと導く

    価値評価にあっては、鉱量、操業コストの妥当性、リスク評価などを行ない、当社としての評価額を算定し、それをもとに先方との議論・交渉による摺合せを行った。
    ただ地質の専門家として検討チームの一員としてデータ評価を行った福田英一はデータだけでなく、それをもとに評価し、お互いのぎりぎりの線を探る、という駆け引きが契約までの重要なファクターだったと語る。
    「当然ながら、思惑通り鉱石が発見されないとか、採掘や処理のコストが想定以上に高くつくというリスクはありますが、それを織り込まなければ売り手は査定金額に納得せず、当社よりも高く買ってくれる相手を別に探す、ということになります。
    どこまでのリスクは取れてどこからは取れないかを、算出し、FCX社と合意できるぎりぎりの線を探る、この駆け引きを常に行いながら交渉を行っていました」。
    規模が大きいだけに、正当な評価を探るのも一苦労。しかし同じく価値評価を担当した技術者の武本信也はかつてない緊張感の中で大きな使命感を感じ、ミッションを遂行したと語る。
    「低品位化、立地条件悪化、開発費・操業費高騰などにより、優良な銅鉱山の権益取得が非常に困難な状況下、当該鉱山のようなコスト競争力に優れ、かつ寿命の長い鉱山の権益を取得することは、銅ビジネスをコアとする当社にとって千載一遇のチャンスでした。できる限り有利な条件で、かつ必ず契約を実現させる!という確固たる決意が当時はありましたね」。

  • 融資実行までマラソンのような日々

    社員たちの大車輪の活躍により2016年2月15日に契約が締結された。その半月ほど前から忙しさを増していたのが資金調達部門である。宇都宮慶一はつぎのように述懐する。
    「契約の条件として、住友金属鉱山の資金調達の首尾がどうあれ、契約クロージング日である2016年5月31日にはFCXに決められた額を支払わなければなりません。何が何でも期日までに10億米ドルの資金調達を間に合せる必要がありました」。
    また、借入額を巨額にするだけでなく、プロジェクト投資時に評価した際の投資採算を確保することも重要であり、利率・借入期間等、総合的に有利な条件にて、採算ラインを確保することも金融機関との交渉の重要な目標となった。
    「実際に借入を行うためには、環境審査や社会的影響の確認など、投資対象プロジェクトについて厳しい審査をクリアする必要がありました。契約クロージングまで非常に限られた期間にて、交渉と並行して、金融機関による審査も技術部隊と連携して対処しましたね」。
    結果として、2016年5月末には投資評価時に想定した経済条件にて資金調達が可能となる目処がたった。
    「上司と二人三脚で打てる手はすべて打ちました。
    結局、無事に融資が実施されました。一連の手続きが終わったときは、マラソンを完走したような達成感でしたね」。

  • 一つのプロジェクトが
    社会への大きな貢献に

    山田は言う。「今回の案件は、住友金属鉱山のビジネスのみにとどまらず、日本の資源確保という見地からも大きな意義のある内容です。
    また、私個人にとっても、入社以降20年弱にわたるキャリアの集大成といえる、じつに感慨深い仕事になりました。
    私は2002年夏から04年初めにかけての1年半、会社から米国のロースクールへ留学させてもらい、そこで身につけた知識が今回の交渉でもずいぶん役に立ちました。私が留学したのは住友金属鉱山が好調とはいえない時期でしたが、それでも若い社員の成長を後押ししてくれたのです。今回の権益取得を成功裏に果たせ、ようやくその恩返しができた思いです」。
    現在もモレンシー鉱山に駐在し操業のサポートを担当する佐藤大輔もこのプロジェクトが今後多くの現場で生かされるだろうと言う。
    「モレンシー鉱山はFCX社の主力鉱山であるために、多くの新しい技術が導入され、経験豊富な技術者がいます。
    それらの技術に触れ、彼らと交流できたことが良い経験になっています。ここでの経験を活かし、さらに他国の大きな鉱山でも思う存分ノウハウを発揮していきたいですね」。
    モレンシー鉱山でのプロジェクトがもたらしたのは住友金属鉱山の利益だけではない。ここで得た知識や経験、なにより技術を生かして住友金属鉱山の技術者が社会にもたらす功績が一番の産物といっても過言ではないのだ。

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