考え方・方針

当社グループは、資源・製錬・材料の3事業連携によるビジネスモデルを確立・展開しており、これらの製品を継続的に改善することで、変化するお客様のニーズに応え、お客様に満足いただける品質の提供に努めています。
お客様に満足いただける品質を提供するために、社長が「全社品質方針」を決定し、方針に従い毎年「全社品質目標」を定めています。これに基づき、事業部門は「部門ごとの年間品質目標」を定めて展開し、グループ全体が同じ方針に沿って品質保証活動を行っています。

全社品質方針

『品質保証と管理の仕組みを継続的に改善し、お客様に満足いただける品質を提供する』

  • 時代を先取りした品質を追究する
  • 法とルールを守り、安全と環境に配慮した物づくりをめざす

品質に関する推進体制

最高責任者を社長とし、品質保証部所管執行役員を定めて品質保証を推進しています。事業部門単位で品質保証体制を構築・運用し、品質保証部が全社を統括して、当社グループ全体の横串機能を果たしています。
また、サステナビリティ委員会の下部組織である品質分科会において、品質保証活動を推進する重要な施策の審議のほか、部門ごとの目標達成状況およびクレーム削減を含む品質管理状況を共有して、品質マネジメントシステム(QMS)の改善につなげています。
さらに年に1回事業部門・事業場の品質保証責任者および本社品質保証部員が集まり、品質会議を開催し、各事業場の品質管理状況の共有および全社に共通する品質課題について討議を行っています。

■ 推進体制図
図:推進体制図

全社品質目標

2023年度全社品質目標

『QMSの改善を進め重大品質クレームゼロを達成し、顧客の信頼を得られる体質をつくる』

  • 事業基盤を揺るがす品質クレームを発生させない 重大品質クレーム ゼロ
  • 品質不祥事の発生 ゼロ
  • 事業部門におけるクレーム目標の達成

品質クレームの推移

当社グループ全体での2014年度以降の品質クレームの推移について右図に示します。
2014年度以降徐々に減少し、2022年度は2014年度と比べ約1/3にまで減少しています。これは、事業部門・事業場の品質改善の取り組みが有効に機能し、品質意識の向上およびQMSが整備された効果が表れていると考えています。

■ 品質クレーム推移(2014年度を100とした比率)
図:品質クレーム推移

品質改善の取り組み

QMSの有効性向上

当社グループでは、事業部門・事業場でQMSを構築し運用しています。QMSが有効に機能するために、QMSのあるべき姿をまとめた「SMM品質標準」を基準にした改善活動を実施しています。事業場は、年度ごとに達成すべきSMM品質標準の目標を定めて改善活動に取り組み、内部品質監査、品質保証部による品質監査などで活動を評価・見直しながら、年度末に品質レベルが目標を達成したかの自己評価を実施します。その結果をもとに、次年度の目標を新たに設定して改善のPDCAサイクルを回し、事業場のQMSの有効性を継続的に向上させています。
SMM品質標準では要求項目を8つの章に分類し、過去のトラブルを盛り込んだチェック内容から事業場ごとの強みと弱みを見つけ、その弱みを重点的に改善しています。
SMM品質標準は毎年改訂を行っており、当社グループが求めるQMSのあるべき姿も改善することで、お客様に満足いただける品質を提供し続けます。

■ SMM品質標準におけるQMS改善のPDCAサイクル
図:SMM品質標準におけるQMS改善のPDCAサイクル
■ QMSの全体像とSMM品質標準の該当項目
図:QMSの全体像とSMM品質標準の該当項目

内部品質監査の強化

SMM品質標準を基準にして、発見された問題から潜在化している仕組み上の課題を第三者的な視点で見つけ出し、トップに伝達される内部品質監査を目指す活動を展開しています。内部品質監査員を養成する研修を国内各地で開催し、2019年度以降2022年度までに、約450名の内部品質監査員を養成しました。養成した内部品質監査員による内部品質監査の有効性を実際の監査に立ち会って確認し、内部品質監査員養成のPDCAサイクルを回しています。
検査・試験データの改ざんなどの品質不祥事の発生を防止するために、eラーニングを用いた全社的な品質不正防止教育を実施しています。また、抑止機会として製品品質を保証するための検査・試験データの信頼性確認を内部品質監査で実施し、人手が介在しないよう検査・試験データ転送の自動化と、自動化が難しい場合は管理面での対策を強化することを全社で推進しています。

図:内部品質監査の強化

全社品質教育の展開

当社グループでは、新入社員から管理監督者まであらゆる階層に必要な品質の知識や管理能力を身に付ける教育を展開しています。品質に関する幅広い知識の習得や意識の向上を目指し、全従業員を対象としたeラーニング「SMMヒンカク」による教育を2019年度から開始し、2021年度は約5,900名が受講しています。今後は「SMMヒンカク」を新入社員や転入者への教育に活用していきます。
今後、品質の責任者を担える人材の不足が予測されるため、全社的な品質の責任者を養成する研修を実施しています。年4回の実践的な研修により、SMM品質標準を事業部門に展開して、QMSの有効性を向上させることを目指しています。研修修了者は研修後、自事業場で取り組む課題を定め、研修で習得した内容を活用して課題の達成を目指します。品質保証部でも取り組みの進捗をフォローします。2022年度は約25名が修了、2023年度は20名が本研修に参加しています。

ものづくりに必要な最低限の品質に関する知識や意識を学び、習熟度を格付けするテスト

製品・サービスに関する情報開示

当社グループで扱っている製品は、そのほとんどが、お客様の製品を製造するための素材、あるいは材料として提供されています。当社グループの製品を安全面や環境面から適切に取り扱うための情報や、お客様に製品を提供するために必要な情報は、過去および最新の情報、当社グループが有する知見ならびに必要な調査に基づいて、契約時に授受される仕様書や、技術打ち合わせ、製品の検査成績表、安全データシート(SDS)※1などを通じてお客様にお伝えしています。お客様に提供される製品は、安全性・環境対応性なども考慮した入念な製品設計に基づき、十分な試験と製造時の検査を経てお届けします※2。これらに用いられる情報は、QMSの運用を通して、最新の技術・法規・顧客要求に基づいて見直され、常に適切なものとしています。

  • ※1Safety Data Sheet(SDS):化学製品の、化学物質・製品名・供給者・危険有害性・安全上の予防措置・緊急時対応などに関する情報を記載する文書
  • ※2銅・ニッケル・亜鉛のライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment: LCA)については、金属別の協会を通じて調査しています

お客様とのコミュニケーション

事業部門・事業場が主体となり、お客様満足度調査を実施しています。その評価結果は営業部門および開発部門にフィードバックされます。顧客満足度を向上させるため、顧客満足度の測定・評価方法を改善し、お客様との的確かつ十分なコミュニケーションを図ることで課題を正確に把握し、実効性のある施策を講じています。また当社グループでは、品質の改善活動を通じて製品の歩留まり向上による省資源化、省エネにも貢献しています。

課題と改善に向けた取り組み

お客様から信頼される品質は、従業員全員が目的および目指す方向を一致させ、目標達成のため、活動に自ら積極的に参加してこそ実現できるものです。そのために外部、内部のコミュニケーションによって得られた事実に基づく課題を明確にして目標を設定し、SMM品質標準を基準にした改善活動に従業員全員が積極的に参加して目標達成を目指しています。

当社グループ製品でラベリングによる開示が求められている情報と当該製品・サービスの割合

開示が求められている情報 当該製品・サービスの割合
製品およびサービスの部品が外注であるかどうか 法による規制、管理対象物質を含むものすべて
主要製品(素材・自主材料)は該当なし
内容物に、特に環境または社会に影響を及ぼすおそれのある物質があるかどうか 法による規制、管理対象物質を含むものすべて
製品およびサービスの安全な利用について 法による規制、管理対象物質を含むものすべて
製品の処分に際して、環境または社会への影響があるかどうか 法による規制、管理対象物質を含むものすべて

情報提供の方法

仕様に関する情報提供

お客様が要求する製品仕様は受注仕様書に明記して、お客様への情報提供を行っています。

化学物質に関する情報の提供

製品取り扱い上の安全衛生と化学物質規制への対応に関し、当社グループは製品に含まれる化学物質の情報をSDSなどによって提供しています。

その他の対応

当社グループでは各種潤滑剤の販売など一般消費者向けの事業も手がけています。この領域の製品・サービスに関する情報提供は該当する法規に則って、ラベリングや正しい理解をいただくための広告、説明を行っています。

製品の品質問題発生時の対応

当社グループの製品、サービスにおいて、品質問題が発生した場合には、「品質保証規程」に則り、必要な対応を決定しています。事業部門・事業場にて直ちに事実確認を行い、原因解析と検証結果をお客様に報告し、是正処置および再発防止策を取り決めます。
万が一重大な品質問題が発生した場合には、事業部門から速やかに経営層および品質保証部長に報告され、必要な対応の進捗確認を行い、是正処置および再発防止策の有効性の確認を品質保証部長が行い、品質問題の早期解決を図ります。