気候変動対策の主要施策
当社グループでは、以下の4つの施策を中心に進め、気候変動対策に取り組んでいます。
1.製造工程におけるGHG排出量削減
製造工程においては、以下の中長期的なアプローチでGHG排出量削減に取り組んでいます。
省エネ
例)高効率設備への更新、製造プロセス改善、AI・IoT化
エネルギー転換
例)LNG化、電化、水素化、バイオ燃料
外部技術、事業、政策の活用
例)再生可能エネルギー電源等のCO2フリー合成メタン、水素、アンモニア等の新燃料CO2分離回収・貯蓄(CCUS)技術
ICPの活用
当社グループでは、脱炭素化に向けた投資や省エネの推進を目的として、企業が社内で独自に炭素価格を設定し、GHG排出の削減効果を投資効果とする取り組みとしてICP制度を導入しています。2020年9月にICPを導入して以来、各事業所において積極的にICPを活用した脱炭素化投資が進んでいます。具体的には、照明設備のLED化、高効率空調設備への更新など、省エネ投資はもとより、従来の投資判断では実施できない、投資効率が悪いとされてきた太陽光発電、重油からLNGへの燃料転換などにも積極的にチャレンジしています。今後、さらにICPを拡充させていきます。
ICP適用案件数※1 | 予想CO2削減量(t-CO2/年)※2 |
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33件 | 76,755 |
- ※12021年から2023年3月の間で適用が決定した件数です
- ※22024年度以降の実施案件も含まれるため、効果の発現時期は適用決定期間とは一致しません
■ ICP制度適用の例
東予工場 | 一部の熱供給設備で燃料を重油からLNGに転換(2023~2025年度にかけて順次完了予定) |
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ニッケル工場 | ボイラー燃料を重油からLNGへ転換(2023年度完了予定) |
播磨事業所 | 購入電力の100%を再生可能エネルギー由来電力に転換(2022年度から実施中) |
菱刈鉱山 | 購入電力の100%を再生可能エネルギー由来電力に転換(2023年から実施中) |
CBNC | 燃料炭の一部を木質系バイオマスに置換し混合燃焼(トライアル中) |
2.低炭素負荷製品の開発と供給
当社グループが生産、供給することによって、結果として社会全体でのGHG排出削減に貢献する製品または材料を低炭素負荷製品と位置付け、開発および市場への供給を積極的に推進しています。2022年度における貢献削減量は540千t-CO2e/ 年※となりました。
当社製品のうち、公的または顧客での技術データ提供など客観的な計算根拠が得られている車載用電池正極材料と近赤外線吸収材料(CWO®(車載ガラス用のみ))の合算値です
3.非鉄金属資源の安定供給
社会全体のカーボンニュートラル実現に向けた大きな潮流である再生可能エネルギーと、EVをはじめとする自動車の電化で使用される主な鉱物資源を下記の表で示しています。これらの多くの素材の提供を当社は担っています。またリチウムについても塩湖水からの効率的な回収を目指し技術開発と工業化への検討を進めています。
自動車1台当たりの具体的な金属使用量については、電化が進むほど金属使用量が増加し、銅では、重量換算でガソリン車の3.6倍が必要となります。こうした素材の需要拡大に応えることが当社グループの果たすべき役割であると考えます。
システム・要素技術 | 必要となる主な鉱物資源※ | ||
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再生可能 エネルギー部門 |
発電・ 蓄電池 |
風力発電 | 銅、アルミ、レアアース |
太陽光発電 | インジウム、ガリウム、セレン、銅 | ||
地熱発電 | チタン | ||
大容量蓄電池 | バナジウム、リチウム、コバルト、マンガン、銅 | ||
自動車部門 | 蓄電池・ モーター等 |
リチウムイオン電池 | リチウム、コバルト、ニッケル、マンガン、銅 |
全固体電池 | リチウム、ニッケル、マンガン、銅 | ||
高性能磁石 | レアアース | ||
燃料電池(電極、触媒) | プラチナ、ニッケル、レアアース(スカンジウム) | ||
水素タンク | チタン、ニオブ、亜鉛、マグネシウム、バナジウム |
青字は当社グループで生産する素材です
■ 自動車1台当たりの使用金属(Kg/台)
4.脱炭素化を支える革新技術の確立
当社グループのカーボンニュートラルを達成するにあたり、総発生量の約90%を占める製錬事業においてGHG排出量の劇的な削減に至る革新的技術の開発、またそれを生産プロセスへ適用することが必要です。銅の製錬においては、石炭使用量削減等を目的として水素還元技術の開発を、ニッケル製錬においては、次世代ニッケル製錬プロセス、CO2固定化技術の開発等を進めています。さらに、複数の大学や企業とも協働し、その先を見据えた次世代の技術開発にも精力的に取り組んでいます。