GRI 3-3
当社グループの事業活動では、高所での作業や大型設備・重機の使用、化学物質の取り扱いを伴うため、従業員の死亡災害を含む労働災害や健康被害を受ける可能性があります。
一方で、安全で安心して働ける環境は、従業員と会社の信頼関係向上や従業員のモチベーションにつながる、経営上の重要な要素の一つです。そこで、当社グループは、協力会社も含め、快適で安全な職場の形成を目指し、設備本質安全化対策をさらに進化させるとともに、IoTやAI(人工知能)など先端技術導入も進めています。
労働安全衛生方針・目標と結果
GRI 3-3
労働安全方針
重篤災害の撲滅に向けて、次の取り組みに注力する
設備の本質安全化を意識した改善の推進
安全管理力のレベルアップ
安全行動がとれる人づくり
労働安全目標と実績(2025年度)
| 目標 | 実績 | |||
|---|---|---|---|---|
| 重篤災害※ | 休業4日以上の災害(腰痛・熱中症除く) | 重篤災害※ | 休業4日以上の災害(腰痛・熱中症除く) | |
| 1)国内グループ社員 | 0件 | 2件以下 | 1件 | 3件 |
| 2)国内協力会社 | 0件 | 1件以下 | 0件 | 2件 |
| 3)海外事業場社員 | 0件 | 0件 | 0件 | 0件 |
- 休業50日以上の災害
業務上災害の類型・危険源の決定方法と対策
GRI 403-9
住友金属鉱山グループ
| 国内事業所 | 海外事業所 | |||
|---|---|---|---|---|
| 業務上災害の主な類型 | はさまれ、巻き込まれ、切れ、高温・低温物との接触、動作の反動・無理な動作、墜落・転落、転倒、激突され | 動作の反動・無理な動作、はさまれ、激突、転倒 | ||
| 後遺障害につながりうる業務上危険源と決定方法 | 過去に発生した災害の分析により、当社独自の分類による層別: ①重量物、②薬品、③高温物、④回転物、⑤電気、⑥高所、⑦重機、⑧シリンダー、⑨工具 |
国内分析結果をあてはめた場合(当社独自の分類) ①重量物、②薬品、③高温物、④回転物、⑤電気、⑥高所、⑦重機、⑧シリンダー、⑨工具 |
||
| 後遺障害につながりうる業務上危険源により発生した災害およびヒエラルキーコントロール※によって取られた危険源への対策 | 従業員 | 重量物 (休業) |
手順見直し、トラブル発生時報告体制整備 | 該当なし |
| 重機 (休業) |
トラブル発生時報告体制確認、手順更新、教育 | |||
| 回転物 (休業) |
手順見直し・更新、作業スキルの認定 | |||
| 重量物 (休業) |
停止位置の明確化、手順作成、使用工具の変更 | |||
| 協力会社 | 高所 (休業) |
保護具の使用の徹底 | ||
| その他の危険源により発生した災害およびヒエラルキーコントロールによって取られた危険源への対策 | 該当なし | 該当なし | ||
- ヒエラルキーコントロール:危険源の除去→代替→工学的対策→管理的対策→個人用保護具の優先順でリスクを許容範囲まで下げていく考え方(出典:NIOSH(アメリカ国立労働安全衛生研究所))
2025年の取り組み結果
2025年の国内グループ社員災害は重篤災害(休業50日以上)が1件、休業4日以上の災害が3件発生し、目標であった重篤災害0件、休業4日以上の災害2件以下を達成できませんでした。国内の協力会社では重篤災害は0件でしたが、休業4日以上の災害は2件発生し、目標1件以下を達成できませんでした。一方、海外事業場では2年連続で無災害を達成しました。
施策である設備本質安全化に関して自動運転機械の安全対策は予定どおり進捗しています。重機災害の安全対策はグループ内で対策を共有し、新型AIカメラでのテストを実施しました。安全管理力のレベルアップについては作業経験年数の浅い社員による災害が多かったことから、各事業場で実施している教育内容を見直し中です。他にもVR一体型体感機を導入し、効果的な危険体感研修を開始しています。こうした施策を実施し、重篤災害の未然防止を図ってきましたが、2026年1月に国内の関係会社でコイル状に巻かれた銅材をクレーンで運搬中に頭部を挟まれる死亡災害が発生しました。二度と同様の災害が発生しないよう、設備面・管理面の両面から対策を実施しています。
労働衛生方針
作業環境改善・疾病予防対策による快適な職場環境の確保
労働衛生目標と実績(2025年度)
| 目標 | 実績 | |
|---|---|---|
| 1. 法規制対象物質(粉じん、鉛、特定化学物質など) | ||
| 1)第2・3管理区分作業場数 | 4 作業場以下 | 5 作業場 |
| 2. 騒音 | ||
| 第3管理区分作業場数のうち、作業負荷値1以上の作業場数 | 1 作業場以下 | 1 作業場 |
| 3. 業務上疾病者 | ||
| 疾病者(要治療者)数 | 0 | 0 |
業務上疾病の類型・危険源の決定方法と対策
GRI 403-10
住友金属鉱山グループ
| 国内事業所 | 海外事業所 | |
|---|---|---|
| 業務上疾病の主な類型と決定方法 | 日本の労働安全衛生関連法に定める
|
フィリピンの労働安全基準に定める ・職業性がん ・難聴 ・皮膚炎 ・電離放射線障害 ・化学物質による中毒と続発症 ・じん肺 ・肺炎 ・振動障害 ・マラリア ・アスベスト関連疾患 など 中華人民共和国職業病防治法に定める ・じん肺およびその他の呼吸器疾患 ・皮膚炎 ・難聴 ・振動障害 ・歯牙酸蝕症 ・化学物質中毒 ・放射線障害 ・職業性がん など 職業安全衛生法(台湾)勞工保険条例に定める ・じん肺 ・電離放射線障害 ・難聴 ・振動障害 ・歯牙酸蝕症 ・皮膚炎 ・化学物質による中毒と続発症(有機溶剤中毒など) ベトナムの法令に定める ・じん肺 ・鉛中毒 ・有機溶剤中毒 ・騒音性難聴 ・振動障害 ・皮膚障害 ・職業性がん |
| 疾病につながりうる業務上危険源 | ・粉じん ・電離放射線 ・有機溶剤 ・特定化学物質 ・鉛 ・振動工具 ・騒音 ・酸などの歯牙腐食物質 | — |
| 疾病につながりうる業務上危険源により発生した疾病およびヒエラルキーコントロール※によって取られた危険源への対策 |
|
治療が必要な業務上疾病の発生なし |
- ヒエラルキーコントロール:危険源の除去→代替→工学的対策→管理的対策→個人用保護具の優先順でリスクを許容範囲まで下げていく考え方(出典:NIOSH(アメリカ国立労働安全衛生研究所))
2025年の取り組み結果
2025年は、粉じん・鉛・特定化学物質等法規制対象物質の第2、第3管理区分の作業場数は5作業場で目標4作業場以下を達成できませんでした。騒音の、第3管理区分作業場数のうち作業負荷値1以上の作業場数は1作業場で、また業務上疾病(要治療者)の発生はなく、目標を達成しました。
施策として計画に基づき局所排気・集じん設備等の改善を進め、作業環境測定結果を踏まえて追加対策や再測定を実施しました。さらに、日常管理不備で環境悪化が見られた作業場を調査し、不足箇所には追加改善を実施するとともに、日常管理チェックリストを社内展開しました。また、化学物質の自律的管理を踏まえた法改正対応としてセルフチェック表で各所の状況を確認し、2026年度中のリスクアセスメントツール移行完了に向けた作業を開始しました。
労働安全衛生の向上に向けた取り組み
従業員および協力会社を含む全ての関係者の安全と健康を確保するため、労働安全衛生マネジメントの継続的な改善に取り組んでいます。化学物質、作業、またはその組み合わせによって生じる危険源に対しては、リスクアセスメント(危険性または有害性の調査)を活用し、危険性を評価したうえで適切な対策を講じています。また、リスクアセスメント結果や作業環境の改善状況は安全衛生委員会で報告・確認し、従業員への周知を通じて現場への定着を図っています。こうした取り組みにより、危険源の特定から対策の実施、評価、再発防止までを一連の流れとして運用し、安全衛生レベルの向上につなげています。
危険源の特定とリスクアセスメント、事故調査
GRI 403-2
定期的な現場巡視・パトロール、作業観察、危険予知活動、ならびに労働者からの申告・意見収集などを通じて危険源を特定し、発生可能性と重篤度を踏まえて評価します。そのうえで評価結果に応じて、作業手順の見直しや設備対策などを講じています。また、重大事故や災害が発生した場合には、直ちに現地で調査を行い、原因を特定し、是正措置を検討したうえで、再発防止策を講じています。これらのプロセスは、災害概況報告書データベースを活用して、危険源の特定から改善までを一定の手順で行えるようにしています。
海外事業場においても、国内と同様にリスクアセスメントや危険予知活動、事故・災害発生時の調査・対策を実施しています。
巡視・パトロールによる現場確認
事業場を所管する各部門では、部門長が関係会社を含む事業場を毎年巡視し、安全衛生管理が適切に実施されているかを確認しています。2025年は、国内外43事業場で107回の巡視を実施しました。さらに、安全環境部長またはその指定者が各事業場の保安・安全・労働衛生管理に関する巡視を行い、その結果を社長、所管部門長、事業場総括者へ報告しています。2025年は、国内の安全統計対象47事業場のうち26事業場で26回実施しました。さらに重大な事故または災害が発生した場合は、直ちに現地で調査を行っています。(2025年は13事業場で15回)
各事業場でも、事業場総括者による安全パトロール、職場での作業観察、小集団による安全活動を継続しています。加えて、一部の事業場では外部講師による指導も受けながら、現場の危険箇所を確認し、改善につなげています。
労働者の参加、協議、コミュニケーション
労働安全衛生の実効性を高めるために当社グループでは、リスクアセスメントや作業環境改善の状況を安全衛生委員会で共有するとともに、労働者の意見を踏まえた改善を進めています。現場で得られた気付きやヒヤリハットは、朝礼や労使懇談会等で関係者間にて共有し、必要な対策を速やかに講じています。
労働安全衛生に関する教育研修
法定教育として、雇入れ時教育、特別教育、危険・有害業務従事時の教育などを実施しています。これに加え、法定を上回る教育として、有資格者育成教育、管理監督者教育、新任拠点長教育、管理監督者交流会、危険体感、小グループ活動、JCO資料館研修、外部講師によるリスクアセスメント教育などを展開しています。
特に、体験型研修施設「王子館」では、危険体感ゾーンと設備技能養成ゾーンを活用し、作業に潜む危険の疑似体験や実機操作を通じて、労働安全と労働衛生への感受性向上、ならびに設備や装置に強いオペレーターの育成を進めています。2013年からは出張危険体感講習も実施し、受講機会の拡大を図っています。さらに、事業場ごとに王子館の施設を利用し、自職場のリスク評価に基づいた独自の安全教育も行っています。
2010年から2025年末時点まで王子館利用者は28,710名(内訳は、国内グループ24,058名、協力会社4,529名、海外拠点123名)、出張講座受講者は12,804名で、合計41,514名が受講しました。
労働安全衛生に関するサービス・教育研修
GRI 403-3/403-5
| 項目 | 内容 | |
|---|---|---|
| 作業環境・作業管理健康管理 | 健康診断・検査 | 労働安全衛生法に定められた健康診断(一般、特殊、特定)を実施しています。 |
| ばく露対策 | 労働安全衛生法に従い、作業環境測定や保護具の着用等を実施し、ばく露時間管理等を実施しています。 | |
| 産業医の設置 | 労働安全衛生法に従い、または準じて産業医と契約し、健康診断結果を活用した保健指導やストレスチェック等を実施しています。 | |
| 感染症対策 |
|
|
| メンタルヘルスケア | 法令に基づくストレスチェックや、社内外相談窓口の設置およびカウンセリング、セルフ・ラインケア研修等を実施しています。 | |
| 従業員とのコミュニケーション | 就業環境アンケートや巡視、労使懇談会等により従業員の要望や意見の吸い上げを行い、それをもとに施策を実施しています。 | |
| 設備・施設・備品 | 従業員が心身ともに健康に過ごすことができる職場環境を提供するために、各種設備や施設を設置しています。食堂、休憩室、洗濯室、浴場/シャワールーム(特定化学物質等への対応)、救急箱・AED、応急処置室、アルコール検知器等、防災施設、備蓄倉庫、社有体育施設/グラウンド、社宅/寮、外部フィットネスジム、当社との関連がある温泉施設等 | |
| 労働安全衛生に関する教育・研修 | 法定教育 | 雇入れ時、特別教育、危険・有害業務従事時等の教育を実施しています。 |
| 法定を上回る教育 | 法定の教育に加え、次のような教育を実施しています。
|
|
| 災害対策 | 避難訓練 | 火事および地震等を想定した避難訓練を年1回以上実施しています。 |
| 自衛消防隊 | 自衛消防隊等を設置し、災害発生時の初動対応体制を整備しています。 | |
| 非常時用品 | 災害時に備え、事業場ごとに非常食等の非常時用品および機器等を用意しています。 | |
| 安否確認 | 外部の安否確認システムを利用し、災害発生時の従業員やその家族の迅速な安否確認を行っています。また、定期的に安否確認訓練を実施しています。 | |
| 緊急連絡網 | 全社および事業場ごとに緊急連絡網を作成し、定期的に見直しを行っています。 | |
協力会社の労働安全衛生リスクへの対応
自社の事業、製品、サービスに直接関連のある協力会社に対し、自社と同様のリスクアセスメントを実施しています。さらにヒヤリハットや気付きを所定の書式などで報告し、事業場への巡視・パトロールを通じて課題を把握したうえで、必要な対策を実施し、労働安全衛生リスクの防止と軽減に取り組んでいます。
外部とのコミュニケーションなど
日本鉱業協会の安全衛生委員会などに参加し、法改正情報や対応手法の収集、工場相互訪問による良好事例の展開などにより、最新の安全衛生技術の導入や安全衛生レベルの向上を図っています。
保安・安全・労働衛生管理・環境保全に係る表彰
保安・安全・労働衛生管理・環境保全に著しい功績があり、他の模範となると認められる個人または職場に対して、社長より賞状・副賞をもって年1回表彰しています。
2025年度表彰実績
- 優良社員
播磨事業所ニッケル精製課51名、住鉱資源開発(株)菱刈事業所開発課41名 - 優良事業場
コーラルベイニッケル社(Coral Bay Nickel Corporation) - 長時間無災害
エヌ・イーケムキャット(株)沼津事業所、(株)日向製錬所