サステナビリティ

国際的な業界団体等への参加・支援

当社グループは国際的な機関に参加、支援表明を行い、それぞれの原則を遵守し鉱業・金属製錬業界の企業として、求められる持続可能な発展に向けた取り組みを行っています。

国際金属・鉱業評議会
(International Council on Mining and Metals:ICMM)

ICMMは、鉱業および金属産業を安全で公平かつ持続可能なものにするために設立された国際的な業界団体です。ICMMには世界の主要な鉱山・金属企業や地域・コモディティ団体が加盟しており、当社は国内唯一の会員企業です。
ICMMは、鉱業および金属産業の環境、社会、ガバナンスに関する取り組みをMining Principlesとして定めています。Mining Principlesは、10の基本原則とそれらの具体的な行動目標を定めたPerformance Expectations、個別の課題についてのポジションステートメント、それらを保証・検証する手順などから構成されています。また、ICMMは会員企業に対して国際基準等に沿った透明性ある情報開示を求めています。
当社グループでは、ICMMの定める10の基本原則やポジションステートメントを参照し、「2030年のありたい姿」の重要課題やありたい姿などに反映しています。また、国際的なサステナビリティ情報の開示基準であるGRI (Global Reporting Initiative)スタンダード、尾鉱ダム管理国際規格(Global Industry Standard on Tailings Management:GISTM)およびICMMが2022年に公表した「社会経済報告(Social and Economic Reporting)」に沿った情報開示を行っています。

ICMM 10の基本原則

基本原則1 倫理的企業活動と健全な企業統治、透明性を実践し、持続可能な開発を支援します。
基本原則2 企業戦略と意思決定過程において「持続可能な開発」の理念を堅持します。
基本原則3 事業活動の影響を受けるコミュニティや労働者の人権、利益、文化、習慣、価値観に敬意を払います。
基本原則4 リスクに関するステークホルダーの観点を取り入れ、健全な科学手法に基づいた効果的なリスク管理戦略と体制を導入し、実行します。
基本原則5 災害・事故ゼロを目標とし、心身の労働安全衛生成績の継続的改善に努めます。
基本原則6 水資源管理、エネルギー、気候変動などの環境パフォーマンスの継続的な改善を追求していきます。
基本原則7 生物多様性の維持と土地用途計画への統合的取り組みに貢献します。
基本原則8 金属、鉱物を含有する製品の責任ある製品設計、使用、再利用、リサイクル、廃棄が行われるためのナレッジベースとシステムを奨励し、推進します。
基本原則9 継続してソーシャルパフォーマンスの改善を追求し、事業を展開する国・地域の社会、経済、制度の発展に貢献します。
基本原則10 持続可能な開発課題と機会に関し、主要ステークホルダーとオープンかつ透明な方法で積極的にかかわり、効果的に報告し、第三者による進捗とパフォーマンスの検証を行います。

ポジションステートメント

多様性、公平性、包摂性/資源開発収益の透明性/気候変動/水資源/鉱滓統治枠組み/先住民族と鉱業/開発のための鉱業パートナーシップ/水銀のリスク管理/自然

Performance Expectations(PEs)の実施状況

当社はICMMの定める期間に準じ、2020年度よりコーポレートレベル(全社)および、対象アセット(拠点)※レベルの自己評価を実施しています。また、2021年度には対象拠点のうち外部検証まで受ける拠点の優先順位付けを実施しました。2022年度からはICMMが定める3年間のサイクルにおいて、優先順位付けに基づき1年につき1拠点およびコーポレートを対象に第三者による外部検証を受け、毎年その結果(実施報告)を開示しています。なお、対象拠点の優先順位付けについてはICMMの定めに準じ3年おきに見直す予定です。

ICMMでは「販売またはさらなる処理のために鉱物および金属を生産または精製する事業を実施する拠点」と定義されています

■ 2021年度 優先順位付けの結果

東予工場、菱刈鉱山、ニッケル工場

■ 当社における優先順位付けの定義

国際的な責任ある鉱物調達の対象鉱物に含まれる金、銀、銅、ニッケルを生産または製錬していること、かつ規模(生産量や従業員数など)の大きいこと、また製錬所においては製品としての金属(最終製品)を製造していること(ただし中間物を生産している施設は除く)

■ 第三者外部検証の受審状況・実施報告
2022年度 2023年度 2024年度
対象拠点 東予工場 菱刈鉱山 ニッケル工場

Performance Expectationsの実施報告

■ コーポレートレベル(全社)のセルフアセスメント結果(2024年度実施)
評価※1 合計
満たしている 部分的に満たしている 満たしていない 該当しない
14 13 2※2 1 30
  • ※1PEsの各項目に対して、ICMMのValidation GuidanceにおいてPE別に示されている判断規準に照らし、下記のように評価しました
    満たしている: 関連するシステムおよび慣行が実施されており(Validation Guidanceのすべての判断規準が満たされており)、十分な証拠もある
    部分的に満たしている: 関連するシステムおよび慣行が部分的に実施されている(Validation Guidanceの一部の判断規準が満たされている)、または、検証可能な証拠が一部足りない
    満たしていない: 関連するシステムおよび慣行が実施されていない(Validation Guidanceの判断規準がすべて満たされていない)、または証拠がない
  • ※2満たしていないとなった項目と満たしているとの差異理由および今後の取り組みについて
    ・PE1.5:政治献金
    政治献金に関するデータを開示していないため、今後、開示に関して検討を進めます
    ・PE7.1:世界遺産登録されている地域での操業
    該当する地域における鉱山の調査や開発に関する当社グループの明確な方針がないため、検討を進めます
    現在当社グループは、該当する地域において鉱山の調査や開発を行っていません

社会経済性報告

The Copper Mark

The Copper Markは2019年に国際銅協会(International Copper Association, ICA)によって設立された、銅産業の「責任ある生産」ならびに国連が提唱するSDGsへの貢献を示す枠組みです。
当社は東予工場の銅製錬に関して、銅産業の責任ある生産活動を、環境・社会・ガバナンスの観点で保証する国際的な枠組みThe Copper Markの認証取得に向けた手続きを開始しました。

■ 各項目の対応状況
No. 基準名 東予工場における対応状況
RRA3 Business Integrity 当社はマネーロンダリングおよびテロ資金提供の防止を推進します。
マネーロンダリングについては「銅・ニッケル・コバルト原料の責任ある調達に関する方針」に基づきリスクを特定評価しており、管理システムの運用においてデューデリジェンスとリスクの管理、取引のモニタリング、トレーニング、記録の保管を実施しています。
贈賄、競争法、マネーロンダリングに関するリスク評価を実施し、リスクを予防・緩和するための行動計画を策定・管理しました結果、これらのリスクが発現することはありませんでした。
RRA10 Responsible Supply Chains サプライヤーのESGリスク評価について、以下のとおり実施しました。
  • 東予工場の銅原料サプライヤーを対象にアンケートを実施しました。
  • 全体の81%のサプライヤーから回答が得られ、回答のあったサプライヤーの評価を行いました。
  • 5段階評価のうち、回答のあったサプライヤーの67%が上位3段階に該当しました。
  • 下位2段階評価のサプライヤーには、自社の評価結果をご理解いただいたうえで、今後当社からアドバイスを行い改善につなげていく予定です。
RRA19 Community Health and Safety 当社は、地域社会の安全で健康的な生活環境を享受する権利を尊重しており、不利益な影響を与えた場合には速やかに是正措置を講じます。
地域安全衛生に関するリスク評価を実施し、リスクを予防・緩和するための行動計画を策定・管理しました結果、リスクの発現はありませんでした。
RRA22 Security & Human Rights 当社工場の警備においては、法令および人権を尊重し、警備員による暴力や武力行使は一切行いません。
警備に関するリスク評価を実施し、リスクを予防・緩和するための行動計画を策定・管理しました結果、リスクの発現はありませんでした。

Extractive Industries Transparency Initiative(EITI)

当社は採取産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative: EITI)スタンダードに賛同し、その支援表明を行っています。

  • 採取産業透明性イニシアティブ:石油・ガス・鉱物資源等の開発に関わる、いわゆる採取産業から資源産出国政府への資金の流れの透明性を高めることを通じて、腐敗や紛争を予防し、もって成長と貧困削減につながる責任ある資源開発を促進するという多国間協力の枠組み

EITI原則

  1. 天然資源の慎重な利用は、持続可能な開発と貧困撲滅に寄与する持続的な経済発展における重要な推進力であるが、適正に管理されなければ経済および社会に負の影響をもたらす。
  2. 国民の利益にかなう天然資源の管理は、当該国の発展のために実施されるべきものである。
  3. 資源開発による利益は長期にわたる収益の流れの中で発生し、価格に大きく依存する。
  4. 政府の収支に関する一般国民の理解は、持続可能な開発に向けた国民の議論と適正かつ現実的な選択を促進させる。
  5. 資源開発産業に関する政府と企業における透明性確保が重要であり、資金管理の公開と説明責任の充実が必要である。
  6. 資金の透明性の向上は、契約や法律を尊重する中で推進されるべきである。
  7. 資金の透明性は国内および海外における直接投資環境を改善する。
  8. 収益の流れと公的支出の管理に向けた、国民に対する政府による説明責任の方針とその実践が求められる。
  9. 国民生活、政府の施策、産業活動における透明性と説明責任に関する高い基準の設定を促進する必要がある。
  10. 収支に関する情報公開において、一貫性があり実施可能で導入しやすいシンプルなアプローチが求められている。
  11. 支出に関する情報公開においては、その国の採取産業に属するすべての企業が含まれていなければならない。
  12. 問題の解決に向けては、すべてのステークホルダーが重要かつ適切な貢献をすべきである。その中には政府および関連機関、採取産業の企業、サービス関連企業、多面的性格をもつ組織、金融機関、投資家、NGOが含まれる。