低炭素貢献製品の開発

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向け、当社は低炭素貢献製品の開発に取り組んでいます。電気自動車(EV)に搭載されGHG排出削減に貢献する次世代リチウムイオン電池の全固体電池用正極材や、水素社会において水素を製造する際に欠かせない水素製造触媒材料などの開発に取り組んでいます。

水素製造触媒材料の開発

水素はクリーンなエネルギー源として期待されており、水素社会の実現は地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上に貢献します。その実現には、効率的かつ低コストで水素を生成・供給できる高性能触媒が不可欠です。当社はニッケル系触媒材料の開発を進めており、粉体合成・表面処理などのコア技術を活かして、高性能かつ低コストな水素製造触媒材料の供給を目指しています。

全固体電池用正極材の開発

EV市場の拡大に伴い、全固体電池を含む高性能リチウムイオン電池(LIB)の需要が高まっています。当社は、これまで培ってきた車載電池用高容量正極材料の開発・量産実績と非鉄金属製錬技術を活かし、全固体電池用正極材の安定供給を目指しています。現在は、高性能かつ低コストな全固体電池用正極材料をはじめとする次世代正極材の開発および製造プロセスの実証試験に取り組んでいます。さらに、研究開発基盤の強化を目的として、パイロット設備の導入およびその設備を収容する電池研究所第2開発棟の建設を進めており、2025年12月の完成を予定しています。本設備は、経済産業省のグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成対象となっています。

低炭素貢献製品の供給

当社グループの製品のうち、GHG排出削減に貢献する製品を低炭素貢献製品と位置付け、当社グループは、これらの開発や事業拡大による社会全体のGHG排出削減への貢献を最重要視しています。
現在、2030年までの低炭素貢献製品によるGHG削減貢献量を110万t-CO2とすることを目標としており、2024年度のGHG削減貢献量は100万t-CO2となりました。
引き続き、水素製造触媒材料や全固体電池用正極材の技術開発と既存の低炭素貢献製品の事業拡大に、積極的に取り組みます。

マスバランス方式を利用したグリーンメタル構想

当社グループの電気銅について、マスバランス方式を用いた低GHG排出電気銅の提供に向け、第三者機関によるカーボンフットプリント(CFP)算定結果の検証および加工流通過程(CoC)の妥当性の確認を行い、これらについて保証を得ました。2025年度は、他のメタルの第三者機関によるCFP算定について保証取得を検討する予定です。

  • 特性の異なる原料が混合される場合に、ある特性を持つ原料の投入比率に応じて生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法
■ マスバランス方式の模式図
図:マスバランス方式の模式
  • 下記出典を参照して模式図作成
    出典:Ellen MacArthur Foundation “Enabling a Circular Economy For Chemicals With the Mass Balance Approach”,