従業員の健康維持・増進
健康経営
当社グループでは、労働安全衛生の観点から、早い段階で役員・従業員の安全と健康の確保に優先的に取り組んできました。当社グループで働くすべての人がより健康で活き活きと働けるよう、2022年8月に「住友金属鉱山グループ健康経営方針」を制定し、同年10月に中長期的な取り組みと目標を定めた「従業員の健康づくり推進ロードマップ」と単年度ベースでの「健康経営推進計画」を策定しました。これらの計画を踏まえ、住友金属鉱山健康保険組合とも協力し、効果的な心身の健康維持・増進施策を展開しています。
住友金属鉱山グループ健康経営方針
住友金属鉱山グループは、役員・従業員が心身ともに健康で最大限に能力を発揮できることが重要な経営基盤であると認識し、一人ひとりの健康維持・増進を図る取り組みを推進していきます。

■ 住友金属鉱山グループ健康経営推進体制
■ 健康経営戦略マップ
健康経営戦略マップの用語解説
■ ワークエンゲージメントの向上
エンゲージメントとは、会社組織と従業員の相互の関係性や結びつきを表し、従業員が会社の目標、価値観に対してどれだけ深く関与し、共感し、情熱を持って働いているかを示す指標となるものです。職場環境全体の向上にもつながり、企業の成長や成功を支える重要な要素となります。
■ プレゼンティーズムの改善
プレゼンティーズムとは、出勤しているけれども、体調不良やストレスなどの健康問題を抱えており、本来のパフォーマンスを発揮できない状態を指します。例えば、花粉症で頭がボーッとして仕事に集中できない、二日酔い、寝不足、頭痛などです。
本来のパフォーマンスを発揮することは、業務上のミス防止や安全確保、品質維持、残業削減につなげることができます。
当社では、測定方法として「東大一項目版」を用いています。病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%としたときに、過去4週間のご自身の仕事の評価をすることで測定します。
例えば、頭痛持ちの方の場合、頭痛がなく本来のパフォーマンスを発揮できているときが100%ですが、設問に対する回答が70%である場合、プレゼンティーズムは30%になります。
プレゼンティーズムは「隠れた損失」とも呼ばれ、厚労省のデータによれば、従業員の健康関連コスト(医療費やアブセンティーズムも含む)の78%がプレゼンティーズムです。従業員一人ひとりがプレゼンティーズムの改善に努めることで、職場の生産性向上と企業の持続的成長につながります。
■ アブセンティーズムの改善
アブセンティーズムとは、心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤、休職など、業務自体が行えない状態を指します。結果的に職場の生産性や業務効率が低下する要因になると考えられています。
従業員一人ひとりが心身の不調を原因とした欠勤を減らすことで、各人のWell-being(ウェルビーイング※)と職場の生産性を両立させることが可能となります。
Well-beingとは、個人の権利や自己実現が保証され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること。
直近の調査結果 | |
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エンゲージメント※1 | 47.7(2024年度) |
プレゼンティーズム※2 | 19.7%(2024年度) |
アブセンティーズム※3 | 1.74日(2023年度) |
- ※1「企業と従業員の相思相愛度合い(信頼関係の度合い)」を表す客観的評価スコア。他社を含めた平均を50.0として算出。
当社グループ(当社+調査対象国内関係会社)の調査結果数値。 - ※22024年度から調査開始。東大一項目版に基づいて算出。
当社単体の調査結果数値。 - ※3欠勤・休業日数の従業員平均を算出。
当社単体の調査結果数値。
■ 健康経営ロードマップおよび2025年度推進計画
取り組み段階 | 健康課題に対するKPI | 直近実績 | 中計2027期間 | 2030年度目標 (中計2030最終年度) |
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2025年度 目標 |
2026年度 目標 |
2027年度 目標 |
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健康リスクが高い方の改善フェーズ(対象:ハイリスク者) | Ⅰ 生活習慣の改善 | 40歳以上の中リスク以上(要受診、主治医面談)の比率 | 28.8% (2023年度) |
26.8% | 25.0% | 23.0% | 18.0% |
Ⅱ 喫煙の低減 | 喫煙率 | 24.1% (2024年度) |
22.0% | 19.0% | 16.0% | 12.5% | |
Ⅲ 飲酒の低減 | 1日当たりの平均飲酒量が男性2合以上、女性1合以上の者の比率 | 8.7% (2024年度) |
8.1% | 7.5% | 7.0% | 5.0% | |
健康リスク低減と健康増進フェーズ(対象:全員) | Ⅳ メンタルヘルス対策の再徹底 | メンタルヘルス不調による休業率 | 0.41% (2023年度) |
0.40% | 0.39% | 0.38% | 0.35% |
Ⅴ 肥満の低減 | 40歳以上の肥満率(BMI25超) ①男性 ②女性 |
①39.0% ②23.0% (2023年度) |
①36% ②22% |
①33% ②20.5% |
①28.0% ②19.0% |
①26.0% ②18.0% |
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Ⅵ がんの早期発見 | がん検診受診率 | 未測定 (2024年度) |
目標設定 | ||||
Ⅶ 女性特有の健康課題の理解促進 | 全従業員の教育受講率 | ー (2024年度) |
20% | 30% | 40% | 80% |
メンタルヘルスケアへの対応
2007年に「過重労働による健康障害防止とメンタルヘルスケアに関する社内指針」を発信し、早期から過重労働の防止や、メンタルヘルス4つのケア(「セルフケア」「ラインによるケア」「スタッフによるケア」「外部機関によるケア」)の推進、試し出社制度や休職制度整備に取り組み、職場への早期復帰を支援しています。
■ メンタルヘルス不調による休業率の推移
年度 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
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休業率※ | 0.45% | 0.40% | 0.37% | 0.43% | 0.41% |
休業率:休業延べ日数÷所定勤務日数×年度末人員×100 対象は、住友金属鉱山(株)の従業員
ストレスチェックの活用
当社は、法定のストレスチェック制度を有効に活用するため、「ストレスチェック制度推進規程」に基づき、ストレスチェックを毎年全社員に対して実施するとともに、努力義務である職場分析と職場環境の改善を実施し、経営層へ報告しています。
2015年の制度義務化前の2008年よりストレスチェック制度を整備し、その重要性が周知されていることから、受検率は非常に高い値で推移しています。
当社では、ストレスチェック結果を踏まえ、社員の働きがいを高める(社員の健康と幸福感を向上させる)ための取り組みを検討し実行しています。ストレスチェックは、社員の心理的な負荷やストレス要因を評価するツールであり、データは外部の委託会社において匿名性と機密性が確保されています。個人が特定されない範囲で、部門や職場、社員の属性ごとの傾向と課題を把握・分析し、その結果を組織にフィードバックすることで、事業所ごとに効果的な取り組みを実行しています。また、ストレスチェックの結果、高ストレスとなった社員に対しては、早期対応・専門医による診断・早期回復(休業期間の短縮)に向けて医師からのフォローメールが発信されます。本人からの申し出を前提に、会社として個別の対応策やサポートも提供しています。
■ ストレスチェック受検率および高ストレス者率の推移※
対象は、住友金属鉱山(株)の従業員
■ メンタルヘルスケアの取り組み
すべての取り組みは個人情報に配慮しながら進めています
疾病予防および健康増進の取り組み
当社は、住友金属鉱山健康保険組合と協力し、従業員とその家族(被扶養者)に対し、疾病予防および健康増進の取り組みを行っています。生活習慣病予防のための特定健康診査の受診、特定保健指導の実施を推進し、特に重症化リスクの高い者への受診勧奨や保健指導を行っています。各種検診・人間ドック・脳ドックについては、費用の全額や一部を補助しています。人間ドック受診時は、健康管理休暇(1年につき最大2日)を取得することができます。
また、卒煙推進として、喫煙所数の削減や希望者にオンライン卒煙プログラムを提供しています。卒煙プログラムは、参加者の約7割が卒煙に成功しています。
主な疾病予防・健康増進事業
- メタボリックシンドロームの予防改善のための特定健康診査、特定保健指導
- 人間ドック、脳ドック、大腸がん検診、腹部超音波検診、胃部X線検診、歯科検診、HPVウイルスセルフチェック
- 生活習慣病の重症化リスクの高い者への受診勧奨、糖尿病腎症ハイリスク者への保健指導
- オンライン卒煙プログラム
- 常備薬の斡旋販売
- ゲノム解析による疾病リスク把握
■ 喫煙率の推移と目標※
対象は、40歳以上の住友金属鉱山(株)社員(特定健診の問診結果)
■ 有所見者率※1および肥満率※2の推移と目標
- ※1対象は、住友金属鉱山健康保険組合の被保険者
- ※2対象は、40歳以上の住友金属鉱山(株)社員
■ 人間ドック受診率
対象は、18歳以上の住友金属鉱山健康保険組合の被保険者