多様な人材・人材の育成と活躍

人材の活用
(働き方改革と多様な人材が活躍できる職場づくり)

働き方改革

働き方改革に対する考え方

当社グループが目指している働き方改革の目的は、単なる労働時間の短縮ではなく、従業員が労働生産性を向上させることにより、限られた時間の中で質の高い仕事を効率良く進め、新たな価値を生み出していくことです。当社は、2017年4月に働き方改革の取り組み開始を宣言し、これまで継続的に様々な取り組みを進めてきました。適正な労働時間管理の強化や長時間労働削減はもちろんのこと、従業員一人ひとりが持つ力を発揮でき働けるよう環境を整えてきました。働き方改革により生み出した時間を自らに投資し、自己成長の機会に使ってほしいと期待しています。

働き方改革の取り組み

当社グループでは、部門や職場によって業務の特性が異なることも多く、「働き方改革」の推進は職場単位での活動を基本としています。各職場で働き方に関わる現状の把握や改善に向けたアクションプランを毎年作成し、実施しています。
年間の総実労働時間は着実に減少しており、労働生産性向上に向けた取り組みを開始しています。

トップコミットメント 社内メッセージ発信
現状把握 現状把握および職場ごとのアクションプラン策定 等
新たな就労ルール 就業管理システムの改善、柔軟で効率的な働き方の追求 等
新たな仕事の進め方 会議のあり方、資料の作り方の見直し
ペーパーレス化、電子メール受発信ルール見直し
ITツール活用(情報システム部と連携)、省力化、RPA化
業務棚卸、業務改善、人材育成のあり方 等
意識改革 管理監督者、スタッフを対象とした研修実施
適正な人材配置 整員の考え方の見直し
就労の仕組みを整備 時差出勤、フレックスタイム制、在宅勤務制度、半日年休、時間単位年休、半日代休 等

多様な働き方と労働生産性/長時間労働・過重労働の防止

当社は、長時間労働・過重労働に関する各国・地域の法令を遵守しています。日本国内においては、働き方改革への取り組み以前の2003年から、過重労働による健康障害を防止するための取り組みとして、月45時間を超えて時間外労働を行った社員についての事業者への周知や、月80時間を超えて時間外労働を行った社員への産業医の保健指導を実施しています。
また、年間総実労働時間の社員平均1,900時間以下を目標に掲げ、労働時間の削減に取り組んできました。労働時間の進捗については、執行役員会議で毎月報告しています。職務に応じた多様な働き方(在宅勤務やフレックスタイム制)を認めることで、積極的に業務に取り組むことにつながり、労働時間の削減および生産性向上を推進しています。本社地区ではコアタイムレスのフレックスタイム制を導入しており、社員の自律性に基づいた柔軟な働き方を実現しています。また、年次有給休暇の取得を促進するため、事業所ごとに労使で対話を行い、事業所ごとの実態を踏まえて施策を検討し、実行しています。これらの取り組みにより年間総実労働時間が減少したことを踏まえ、2021年4月より、すべての勤務形態の年間所定労働時間を1,920時間に一本化しました。2023年度の年間総実労働時間は1,945.2時間(全社員平均)、有給休暇取得率は85.2%(年間在籍社員平均)となりました。

■ 年間平均総実労働時間※1および有給休暇取得率※2の推移
図:年間平均総実労働時間および有給休暇取得率※2の推移
  • ※1年間平均総実労働時間=所定労働時間(欠業、有給休暇等を除く)+所定外労働時間
  • ※2対象は、住友金属鉱山(株)の年間在籍者(ただし期間雇用者のうち特別雇員は含まない)

多様な人材が活躍できる職場づくり(制度整備および取り組み)

ライフステージに応じた支援

当社では、入社、結婚、出産、育児、介護、そして定年といった様々なライフステージの変化に応じた支援策や制度、そして研修等による情報提供の機会・相談の場を設けています。

■ ライフステージに応じた支援
図:ライフステージに応じた支援

仕事と育児・介護の両立支援制度の整備

当社は、従業員が安心して仕事と育児・介護が両立できるよう、法定を上回る支援策を拡充し、働きやすい環境の整備に努めています。当社制度を従業員全体に理解してもらい、各人の事情に応じて有効利用してもらうことを目的に、育児・介護も含む社内制度をまとめた「福利厚生ハンドブック」を2009年に作成、その後も制度変更に応じて改訂し、社内に周知しています。
また、育休復帰前・復帰後の社員およびその上司を対象とした「仕事と育児の両立支援制度説明会」や、育児・介護休業法の改正に伴う管理職の制度理解・浸透を目的とした「育児休業制度説明会」、自身あるいは配偶者が出産予定の社員に育児休業制度等の理解を促すことを目的とした「個別の育児休業制度説明および取得の意向確認面談」を実施しています。
2023年度に育児休業を取得する権利を有していた従業員101名(男性91名、女性10名)のうち、育児休業を取得した従業員は102名(男性91名、女性11名)、育児休業取得率は101.0%(男性100.0%、女性110.0%)となりました。

■ 育児休業取得状況※1※2
図:育児休業取得状況
  • ※1※1 報告対象期間の年度に育休を取得した者のうち、その前年度に出産した者が含まれるため、育休取得率が100%を超えることがあります
  • ※22022年度以降の育休取得率は、育児目的休暇の取得割合を含みます
  • ※32023年度育児休業取得者数÷会社への出生届出者中、2023年度に配偶者が出産した数×100
  • ※42023年度育児休業取得者数÷2023年度出産者数×100

仕事と介護の両立には、上司や職場など周囲の理解・協力が不可欠であることから、職場や上司へ相談しやすい雰囲気を定着させるとともに、社員それぞれが仕事と介護の両立を図るうえで必要な事前の心構えや当社の両立支援制度に関する知識をもつことが重要です。そのため、仕事と介護の両立支援策として、2018年度より「仕事と介護の両立セミナー」を開始し、継続的に仕事と介護の両立支援施策の強化を行っており、2020年度からは、意識改革や介護に関する制度の周知を目的とした「有識者による介護講演会」や「当社の介護制度に関する説明会」も継続的に開催しています。
2015年、2019年に実施した介護に関する社内の意識・実態・ニーズについてのアンケート調査では、介護を行う社員を受け入れる職場風土に課題がありましたが、各種支援策の開始によって不安材料が解消傾向にあります。また、2023年度より、「社員同士が仕事と介護の両立に関する情報・意見交換を行う場」として「介護カフェ」を設けるなど、新たな取り組みも開始しました。なお、2023年度中に介護休業を取得した社員は1名、介護休暇を取得した社員は67名でした。

■ 介護休業取得者数推移
2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
取得者数(名) 男性 0 0 1 2 2 1
女性 2 2 1 0 0 0
取得平均日数(日) 104.5 63.5 129.5 12.0 70.0 155.0
■ 介護休暇取得者数推移
図:介護休暇取得者数推移
取り組み項目 主な内容
仕事と育児の両立支援制度説明会
(2019年度開始)
本社地区の育児休業から復職した社員、その上司およびその他希望者を対象に、社内育児関連制度の趣旨や内容を理解することを目的として実施。2022年度より、職場復帰の心構えや両立生活に向けた準備等に関する内容について復職前に説明
育児休業制度説明会
(2019年度開始)
子が生まれる予定の社員とその上司・2022年度より全管理職を対象に、育児・介護休業法改正に伴う制度の理解浸透および職場風土醸成を目的として実施(2023年度末管理職受講率88.9%)
個別の育児休業制度説明および取得の意向確認面談
(2022年度開始)
妊娠・出産等(本人または配偶者)の申し出をした社員に対し、各所人事担当および本社人事部ダイバーシティ推進室担当の2名以上で対面またはオンラインで制度説明および育休取得の意向確認面談を実施
復職前面談 上司と本人との間で、復職に向けた情報共有を行い、本人の職場復帰や仕事と育児の両立、職場における体制整備などを円滑に進める目的で実施
男性の育児休業取得事例集
(2023年度発行)
子供が生まれる予定の男性社員に対して配付し、育児休業期間中の過ごし方や取得によるメリットを伝えることで、育児休業取得を促進
タブレット端末の配布 育休中でも会社情報を閲覧できる環境を整備

ワークライフ支援デスク

当社グループ全従業員を対象に、人権・ハラスメント相談に限らず、職場の人間関係や仕事と育児・介護との両立、キャリアに関する相談などを幅広く受け、その解決のための支援を行う「ワークライフ支援デスク」を2021年4月に新設しました。

従業員意識調査と社内制度整備

2030年のありたい姿「多様な人材が活躍できる職場づくり」を実現するため、人事関連諸制度の見直しに取り組んでいます。また、従業員の意識・意欲の現状や満足・不満足の要因を把握し、改善に向けた施策に活かすために、年に一度、従業員意識調査を実施しています。
2023年度の調査では、経営層・従業員間のコミュニケーションや、人事制度が従業員の成長意欲向上につながるものとなっていないという課題が見えました。一方、会社への誇りや良好な上司・部下の関係、職場のチャレンジ風土などは、当社グループの強みとしてさらに伸ばしていきたい項目であることを確認しました。また、企業風土に関する調査項目では、従業員がこれからも大切にしたいと考える当社の風土として「チャレンジ」「現場第一」「柔軟性」「自由闊達」などが挙げられた一方、早急になくしたいと考える当社の風土として「官僚主義的」が挙がりました。

■ 従業員意識調査の結果(抜粋)
図:従業員意識調査の結果(抜粋)
■ 直近の主な社内制度の整備状況(働きやすい・働きがいのある環境整備)
2020年度 賃金改善 組合員平均1,500円
介護休暇 利用要件・取得単位の緩和
2021年度 定年延長
年間所定労働時間
フレックスタイム制
相談窓口
一般社員の定年年齢延長(65歳)
1,920時間に一本化(削減)
コアタイムレスの導入(本社地区)
ワークライフ支援デスクの新設
育児特別時間休暇
健康管理休暇
取得要件および取得単位の緩和
年齢制限撤廃(人間ドック受診時)
単身赴任制度
転任雑費
認定要件の拡充、手当増額
車両費用補助新設(最大50万円)
住宅手当
海外勤務者手当
各種見舞金
支給対象者の拡大、単身者への支給額増加
ハードシップ手当の増額
災害見舞金見直し、避難・車両見舞金新設
2022年度 人事考課
テレワーク制度
キャリア採用者・育休復帰者の取り扱いの見直し
本社地区の勤務形態の再整備
賃金改善 組合員平均約4,800円
年次有給休暇
積立年休
付与日数増加、休暇失効撤廃
積立上限の増加、利用要件追加
家族手当
在宅勤務手当
手当金額の見直し、賞与算定基礎額の見直し
在宅勤務日数に応じた支給
2023年度 物価上昇手当 物価上昇手当として月額10,000円を支給
2024年度 賃金改善
人間ドック受診費用補助
組合員平均20,000円
人間ドック会社負担の対象年齢拡大

高齢者の多様な働き方

60歳を迎えた社員について、2020年度までは再雇用として雇用を継続してきましたが、2021年度より一般社員の定年年齢を65歳へ変更し、社員として活躍し続けることができるようになりました。2023年度からは、65歳定年以降もシニア社員として最長70歳まで雇用を継続できるよう総合職人事制度を改正しました。様々な選択肢を提示することで、多様な働き方を実現しています。また、50歳以上の社員を対象とした50歳・58歳時キャリア&ライフプラン研修や、セカンドライフを後押しする転進支援制度(転進支援助成金・再就職支援等)も整備しています。