多様な人材・人材の育成と活躍

ダイバーシティ&インクルージョン

考え方

当社グループは「経営理念」において、人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認めることを掲げ、それを実現するための役員・従業員の具体的な行動基準をまとめた「SMMグループ行動基準」において、「多様性を受け入れ、人格・人権を尊重する」ことを定めています。また、「住友金属鉱山グループ人権方針」では、雇用や就業の場面における人種、宗教、性別、年齢、性的指向、障がいの有無、国籍などによる差別、ハラスメントやいじめを認めないことを定めています。そして、2030年のありたい姿として、多様な人材および人材の育成と活躍を重要課題と捉え、「すべての従業員が活き活きと働く企業」を目指しています。
一人ひとりが持つ視点や考え方は様々であり、判断基準や価値観は環境や時代によって変化することから、多様なメンバーの「違い」を受け入れ、認め合い、特性を生かしながら、尊重しつつ協働することが重要です。そのためには、互いの信頼関係のうえで、個人および組織の継続的な努力が必要であり、その結果ダイバーシティ&インクルージョンが実現し、新しい知恵が生み出され成長戦略を推進できる組織になります。
多様なメンバーが、共に活き活きと働くために、環境や制度整備に加え、公正に機会を提供しつつ、2017年度より「自由闊達な組織風土※」づくりに取り組んでいます。自由闊達な組織風土により、一人ひとりがその違いにかかわらず、他者の持つバックグラウンドに対して尊敬の念を持って接し、自由に発想したり議論したりする中で切磋琢磨していくことが実現すると考えています。

自由闊達な組織風土

  • 自分の思いや気づきを上司・部下、先輩・後輩という関係や性別等の個々人の違いを気にせず伝えることができる
  • 新しいアイデアやチャレンジを歓迎する
  • 誰がではなく、何が正しいかを判断基準とする

【前提】組織の方針や目標、規律やルールが共有できている

当社に根付いていた組織風土の良さを活性化するため、改めて言語化し社員に周知しています

ジェンダーバランス(女性活躍)への取り組み

2030年のありたい姿「多様な人材が活躍できる職場づくり」を実現するため、KPIとして、「女性管理職数・比率」および「女性従業員数・比率」を設定しています。2022年度は、女性管理職比率が2.9%(20名)、女性従業員比率が12.9%(445名)となり、前年度と比べて増加しました。当社では、「女性活躍推進法」に基づく行動計画を策定し、目標達成に向けて取り組んでいます。さらに、積極的な採用、幅広い職種への登用や女性リーダーの育成等の様々な施策を通じ、女性のさらなる活躍に向けて取り組みを進めています。

女性の個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目的とし2016年に施行された国・地方自治体・一般事業主の女性活躍推進に関する責務を定めた法律

■ 女性活躍推進法に基づいた当社の行動計画(計画期間:2021年4月1日~2024年3月31日)
取組項目
女性管理職数 20人以上
有給休暇取得率 80%以上
ライフステージに応じた両立支援策を講じる
■ 女性管理職数と比率の推移
図:女性管理職数と比率の推移
■ 女性従業員数と比率の推移
図:年間平均総実労働時間および有給休暇取得率※2の推移

公正な評価・処遇制度

当社は、「住友金属鉱山グループ人権方針」に基づいて、各国・地域の最低賃金を含む報酬に関する法令を遵守しています。日本国内においては、最低賃金法に基づいて定められる地域・産業別最低賃金を上回る社内最低賃金を住鉱連(労働組合)との間で協定し、従業員の処遇の向上に努めています。
また、性別・年齢による区別・差のない評価・報酬制度を導入しており、一人ひとりの役割・成果によって報酬を決定しています。2022年度の基本給および報酬総額に関する男女比は、無期雇用社員において基本給が100:165(女性:男性)、報酬総額が100:149(女性:男性)となりました。この男女の差異は、男性社員の勤続年数が女性に比べて長く、また管理職に占める女性の割合が低いことによるものと考えています。そのため、この差異の解消に向け、女性従業員の定着率向上や管理職女性比率を適正な水準に上げることを実行していきます。

■ 基本給と報酬総額の男女比(2022年度)
図:基本給と報酬総額の男女比(2022年度)
  • ※1対象は、住友金属鉱山(株)の無期雇用社員(短時間勤務者含む)
  • ※2報酬総額は、基本給および超過勤務・住宅・家族・通勤手当等を含み、退職手当を除きます

女性リーダー育成のための研修

当社内の女性総合職社員数が相対的に少ないことから、全社人材育成体系に沿った研修に加え、将来リーダーとしての役割を担うことが期待される女性社員を選抜し、全9社で構成される異業種企業との交流会に派遣しています。他社の同世代の女性社員と一緒に課題に取り組むことを通じ、異なる企業文化に触れ、視野の拡大を図るとともに、リーダーに必要な実践的スキルを身に付けることを目的としています。

基幹職女性社員への研修

2019年度より、女性基幹職社員を選抜し、自律的なキャリア意識の構築およびビジネス基礎力向上を目的とした「キャリア塾」を開始しました。2022年度からは、対象者を拡大し、「30歳代キャリアデザイン研修」と「ビジネス基礎力向上研修」の二つに分けて開催しています。

障がい者雇用の推進

キャリア採用に加え、2019年度から各事業所近隣の特別支援学校からの職場体験を毎年継続的に受け入れ、就業体験を通じて職場や仕事の理解を深めることにより、安心・納得して当社に入社する学生が増えています。また、定着支援として、入社後、1、3カ月経過後・その後は6カ月ごとに人事担当者と定期的に面談を行い、仕事への不安や困りごとの解消や必要に応じて生活面のサポートを行い、就労支援との連携を強化しています。2020年度からは、障がいのある大学生のインターンシップを毎年実施し、専門性や特性を活かせる職場での採用を積極的に行っています。
また、合理的配慮の観点から、各フロアにパトライトの設置(聴覚障がい者のための視覚での伝達)、音声認識ソフトの利用、社内手話教室、健常者が障がい者の疑似体験をするワークショップの開催、施設内の段差の解消、トイレの整備などを行っています。障がい者が健常者と一緒に働ける環境整備をノーマライゼーションの考え方に基づき実行することで、障がい者雇用率は着実に高まっています。2023年6月時点の当社の障がい者雇用率は2.59%となり、法定雇用率2.3%を上回りました。

■ 過去5年間の障がい者雇用者数※と雇用率の推移
図:過去5年間の障がい者雇用者数※と雇用率の推移
  • データは各年度6月1日時点、対象は、住友金属鉱山(株)の従業員
  • 障がい者雇用者数は、法定雇用率の算定における障がい者雇用者数のカウント方法によります

外国人従業員の拡充

当社の総合職の外国人社員は、2022年度末時点で14名在籍しており、昨年度より2名増加しました。業務の内容別では、技術系職種(研究開発や工務、製造部門等)と事務系職種(事業部門やコーポレート等)で約半数ずつとなっており、多様な職場・職種において活躍しています。
2022年度は、外国人社員が抱えている課題を把握するためのアンケートと、希望者を対象にした面談、上司へのフィードバックと課題ヒアリングを実施しました。また、当社で活躍している外国人社員による座談会を開催し、当社グループ社内報を通じてその内容を発信することで、全従業員がグローバル人材の活躍を知るとともに、誰もが活躍できる職場環境の整備の重要性に対する社内の意識を高めています。2023年度は、2022年度に抽出した課題に対する施策の検討や、総合職外国人社員数の拡充に向けた取り組みを進めていきます。

LGBTへの取り組み

当社は、「住友金属鉱山グループ人権方針」において、性的指向に基づくハラスメントや差別的な取り扱いを禁止することを掲げています。2018年度から2020年度にかけて、LGBTについての理解を深めることを目的としたワークショップを開催しました。2020年度から、執行役員および管理職を対象に外部環境の変化とLGBTに関する理解促進を目的とした研修を開始し、対象層を徐々に拡大しながら継続的に研修を行っています。