多様な人材・人材の育成と活躍

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

住友金属鉱山グループは、「経営理念」において人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認めることを掲げています。そして、長期ビジョン「世界の非鉄リーダー」を実現するためのマイルストーンとして策定した「2030年のありたい姿」では、多様な人材および人材の育成と活躍を重要課題と捉え、「多様な人材が集い、成長し活躍できる企業」を目指しています。
従業員一人ひとりが持つ視点や考え方は様々であり、多様なメンバーがお互いを認め、信じ、自身の強みを活かしながら、公平な機会のもとで協働する企業風土を築くこと(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I))が、「2030年のありたい姿」を実現するためには不可欠です。
性別・国籍・年齢といった属性の多様化に加えて、能力や経験の多様化を進めることで、新しいアイデアを生み出し、組織の柔軟性と競争力を向上させ、新たな価値創造により、変革の原動力とします。

住友金属鉱山グループ
DE&I宣言

代表取締役社⻑  松本 伸弘

自由闊達な組織風土

当社では、「自由闊達な組織風土」づくりを進めています。
自由闊達な組織風土のもと、一人ひとりがその違いにかかわらず、他者の持つバックグラウンドに対して尊敬の念を持って接し、自由に発想し議論を交わしながら切磋琢磨していくことで、個人と組織の成長が実現すると考えています。

自由闊達な組織とは

当社グループが目指す「自由闊達な組織」を分かり易く言語化し、社員に周知しています。

  • 自分の思いや気づきを、上下関係や立場を気にせずに伝えることができる組織
  • 新しいアイデアやチャレンジが歓迎される組織
  • 誰が正しいかではなく、何が正しいかが判断基準になっている組織

【前提】組織の方針や目標、規律やルールが共有できている

DE&Iロードマップ

当社では、ICMM(International Council on Mining and Metals)のポジションステートメントに基づき、DE&Iに関して優先順位の高い項目である「ジェンダーバランスの実現」および「性的マイノリティ(LGBTQ+)が働きやすい職場の構築」について、2030年度までのロードマップを策定しました。

項目 目標
2025
年度
2026
年度
2027
年度
2028
年度
2029
年度
2030
年度
ジェンダーバランスの実現
【KPI】 女性管理職比率
単体5%(35人)、連結15% 単体7%(50人)、連結18%
性的マイノリティ(LGBTQ+)が働きやすい職場の構築
  • 全役員・従業員を対象としたLGBTQ+研修などを通じた理解浸透
  • パートナーシップ制度の理解浸透と必要に応じた制度の見直し
  • 社内Allyコミュニティの拡大と活動継続
PRIDE指標※1「ゴールド」認定取得・継続 PRIDE指標「ゴールド」認定取得・継続と「レインボー認定」※2に向けた取り組み強化
  • ※1PRIDE指標とは、一般社団法人work with Prideが策定した職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取り組みの評価指標。
    5つの指標全てを達成すると「ゴールド」認定企業となる。
    5つの指標とは、Policy(行動宣言)、Representation(当事者コミュニティ)、Inspiration(啓発活動)、Development(人事制度・プログラム)、Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)
  • ※2「レインボー認定」は「ゴールド」認定を獲得した企業のうち、LGBTQ+に関する法制度実現への賛同表明および、セクターを超えた主体と協働するコレクティブ・インパクト型の取組等を推進している企業が認定される。
    PRIDE指標の詳細は https://workwithpride.jp/pride-i/

ジェンダーバランス(女性活躍)への取り組み

2030年のありたい姿「多様な人材が活躍できる職場づくり」を実現するため、KPIとして、「女性管理職数・比率」および「女性従業員数・比率」を設定しています。2023年度は、女性管理職比率が3.2%(26名)、女性従業員比率が13.0%(469名)となり、前年度と比べて増加しました。当社では、「女性活躍推進法」に基づく行動計画を策定し、目標達成に向けて取り組んでいます。さらに、積極的な採用、幅広い職種への登用や女性リーダーの育成等の様々な施策を通じ、女性のさらなる活躍に向けて取り組みを進めています。

女性の個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目的とし2016年に施行された国・地方自治体・一般事業主の女性活躍推進に関する責務を定めた法律

■ 女性活躍推進法に基づいた当社の行動計画(計画期間:2024年4月1日~2028年3月31日)
取組項目
女性管理職比率 5%以上
有給休暇取得率 80%以上
女性社員・育児休業取得率 100%
男性社員・育児休業取得率 100%

男性社員の育児休業には育児目的休暇を含む

■ 女性管理職数と比率の推移
図:女性管理職数と比率の推移

対象は、住友金属鉱山(株)(出向社員含む)

■ 女性従業員数と比率の推移
図:女性従業員数と比率の推移

対象は、住友金属鉱山(株)(出向社員含む)

公正な評価・処遇制度

当社は、「住友金属鉱山グループ人権方針」に基づいて、各国・地域の最低賃金を含む報酬に関する法令を遵守しています。日本国内においては、最低賃金法に基づいて定められる地域・産業別最低賃金を上回る社内最低賃金を住鉱連(労働組合)との間で協定し、従業員の処遇の向上に努めています。

また、性別・年齢による区別・差のない評価・報酬制度を導入しており、一人ひとりの役割・成果によって報酬を決定しています。2023年度の基本給および報酬総額に関する男女比は、無期雇用社員において基本給が100:169(女性:男性)、報酬総額が100:153(女性:男性)となりました。この男女の差異は、男性社員の勤続年数が女性に比べて長く、また管理職に占める女性の割合が低いことによるものと考えています。そのため、この差異の解消に向け、女性従業員の定着率向上や管理職女性比率を適正な水準に上げることを実行していきます。

■ 基本給と報酬総額の男女比(2023年度)
図:基本給と報酬総額の男女比(2023年度)
  • ※1対象は、住友金属鉱山(株)の無期雇用社員(短時間勤務者含む)
  • ※2報酬総額は、基本給および超過勤務・住宅・家族・通勤手当等を含み、退職手当を除きます

女性リーダー育成のための研修

当社内の女性総合職社員数が相対的に少ないことから、全社人材育成体系に沿った研修に加え、将来リーダーとしての役割を担うことが期待される女性社員を選抜し、全8社で構成される異業種企業との交流研修に派遣しています。他社の同世代の女性社員と一緒に課題に取り組むことを通じ、異なる企業文化に触れ、視野の拡大を図るとともに、リーダーに必要な実践的スキルを身に付けることを目的としています。

役員と女性管理職との懇談会

女性社員が働きやすく、活躍できる職場の実現のために、2023年度より役員と女性管理職との懇談会を実施しています。今後、各意見・アイデアを施策へ反映させていく予定です。

障害者雇用の推進

キャリア採用に加え、2019年度から各事業所近隣の特別支援学校からの職場体験を毎年継続的に受け入れ、就業体験を通じて職場や仕事の理解を深めることにより、安心・納得して当社に入社する生徒が増えています。また、定着支援として、入社後、1、3、6カ月経過後、その後は年1回の頻度で担当者と定期的に面談を行い、仕事への不安や困りごとの解消に向けた検討や、就労支援との連携を強化しています。2020年度からは、障害のある大学生のインターンシップを毎年実施し、専門性や特性を活かせる職場での採用を積極的に行っています。
また、合理的配慮の観点から、各フロアにパトライトの設置(聴覚障害者のための視覚での伝達)、音声認識ソフトの利用、社内手話教室、健常者が障害者の疑似体験をするワークショップの開催、施設内の段差の解消、トイレの整備などを行っています。障害者が健常者と一緒に働ける環境整備をノーマライゼーションの考え方に基づき実行することで、障害者雇用率は着実に高まっています。2023年6月時点の当社の障害者雇用率は2.59%となり、2023年度の法定雇用率2.3%を上回りました。

■ 過去5年間の障害者雇用者数と雇用率の推移
図:過去5年間の障害者雇用者数と雇用率の推移
  • データは各年度6月1日時点、対象は、住友金属鉱山(株)の従業員
  • 障害者雇用者数は、法定雇用率の算定における障害者雇用者数のカウント方法によります

外国人従業員の拡充

外国人従業員を採用し中核人材として登用することで、組織の競争力を高め、グローバルなビジネス環境への対応力向上につながると考え、当社では外国人従業員の拡充に取り組んでいます。総合職の外国人従業員は、2023年度末時点で13名在籍しており、技術系職種(研究開発や工務、製造部門等)と事務系職種(事業部門やコーポレート等)に分かれ、多様な職場・職種において活躍しています。
2023年度は、外国人従業員が抱えている課題を把握するためのアンケートと、希望者を対象にした面談を実施しました。2024年度は、2023年度に抽出した課題に対する施策の検討や、総合職外国人従業員数の拡充に向けた取り組みを進めていきます。

性的マイノリティ(LGBTQ+)理解への取り組み

当社は、「住友金属鉱山グループ人権方針」において、性的指向に基づくハラスメントや差別的な取り扱いを禁止することを掲げています。2018年度から2020年度にかけて、性的マイノリティの方々についての理解を深めることを目的としたワークショップを開催しました。2020年度から、執行役員および管理職を対象に外部環境の変化と性的マイノリティの方々に関する理解促進を目的とした研修を開始し、対象層を徐々に拡大しながら継続的に研修を行っています。なお、2024年3月8日付で、東京都より、当社人事部ダイバーシティ推進室が『LGBTフレンドリー宣言』を行ったことが認定されました。