コーポレートガバナンス
- 基本的な考え方・体制
- ガバナンス強化への取り組み
- コーポレートガバナンス体制
- 取締役会のあるべき姿
- 意思決定・監督体制
- 監査体制
- 取締役・監査役に対するトレーニングの方針
- 取締役候補者の指名および経営陣幹部の選解任の手続、監査役候補者の指名の手続
- 最高経営責任者等の後継者計画への取締役会の関与
- 取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性および規模に関する考え方
- 取締役の報酬の基本方針と手続
- 経営陣の報酬のインセンティブ付け
- 監査役の報酬等の額の具体的な決定手続
- 役員の報酬等の総額
- 取締役会の実効性についての分析・評価とその結果
- 監査役監査および監査役会の実効性についての分析・評価とのその結果
- 業務執行体制
- 政策保有株式
基本的な考え方・体制
当社は、コーポレートガバナンスを、当社グループの企業価値の最大化と健全性の確保を両立させるために企業活動を規律する仕組みであり、経営上最も重要な課題の一つと位置付けています。
当社は、「住友の事業精神」を基本とした「SMMグループ経営理念」を定めており、コーポレートガバナンスの充実に努めることにより、「SMMグループ経営理念」の達成に向けて効率的かつ健全な企業活動を行い、社会への貢献と株主をはじめとするステークホルダーへの責任を果たしていきます。
コーポレートガバナンスに関する基本方針の策定
当社は、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や、ステークホルダーとの関係、ガバナンスの体制などコーポレートガバナンスの枠組みをまとめた「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を策定しています。
コーポレートガバナンス体制の概要(2025年6月26日現在)
| 機関設計 | 監査役会設置会社 |
|---|---|
| 取締役の人数/任期 | 8名/1年 |
| 取締役のうち、独立社外取締役の人数 | 4名 |
| 取締役会の議長 | 野崎 明 |
| 取締役候補者選定における社外取締役の関与 | 有 |
| 報酬決定における社外取締役の関与 | 有 |
| 会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
ガバナンス強化への取り組み
当社は、コーポレートガバナンスに関する基本方針に基づき、今後もより良いコーポレートガバナンスを実現するため、法令改正や社会情勢などを踏まえ、常に現在の状況を見直し、改善・深化を図っていきます。例えば2007年の社外取締役の設置をはじめとして、任意の委員会であるガバナンス委員会の設置や取締役会および監査役会のそれぞれの実効性評価の実施、2025年には社外取締役が取締役会の半数を構成する等、様々な改善を図ってきました。
当社のガバナンスの変遷
- 人数は、株主総会後の人数
コーポレートガバナンス体制
当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や枠組みをまとめた「コーポレートガバナンスに関する基本方針」の通り、当社のガバナンスは、経営における執行と監視・監督のそれぞれの機能が十分に発揮されるシステムとして、監査役会設置会社および執行役員制度を採用し、取締役会による「意思決定・監督」、社長および執行役員による「業務執行」、そして監査役および会計監査人による「監査」という3区分の組織体制により運営されています。
また、経営の透明性を高め、コーポレートガバナンス強化を図るため、ガバナンス委員会を設置しているほか、業務執行上重要な事項のうち慎重な審議が必要な事項について審議する経営会議を設置しています。
取締役会の社外取締役比率
ガバナンス委員会の社外取締役比率
取締役の在任年数の構成比
女性取締役比率
社外役員(社外取締役・社外監査役)比率
(2025年6月26日現在)
取締役会のあるべき姿
当社は、資源・製錬・材料の3事業をコアビジネスと位置付け、長期ビジョン「『世界の非鉄リーダー』を目指す」を掲げています。これらの事業はいずれも非鉄金属に関わる事業であり相互に有機的な関連を持ち、多様な経営課題に対して取締役会が自ら意思決定を行える事業内容と規模であると考えています。また、現在強化を図っている3事業間の連携という面でも、各事業に強い独立性を与えて独自の意思決定を認めるよりも、取締役会自らが総合的に意思決定を行うことが会社の成長をより促すことにつながると考えています。そのため、執行全体を事後的に監督するモニタリング・モデルではなく、マネジメント・モデルを原則として採ることが当社のガバナンスとして適していると考えています。
また、当社グループの事業の特性上、経営基盤(特にコンプライアンス、安全、環境)の強化が重要であり、監査役が取締役や執行役員などに対して忌憚なく課題を指摘できる体制を整えておく必要があると考えます。この点から、独任制※という権限を保障された監査役が、4年間にわたり安定して監査機能を発揮することが期待できる監査役会設置会社の機関設計を採用しています。なお、監査役には取締役会の決定事項に関する招集権および取締役会の議決権がなく、その結果として取締役の解任提案を取締役会に対してすることができないことが監査役会設置会社の課題であると認識しています。この課題に対しては、複数(3分の1以上)の社外取締役を設置し、ガバナンス委員会委員に就任いただき、ガバナンス委員会において取締役および執行役員等の選解任を取り扱うことにより課題を乗り越えるべく取り組んでいます。
- 独任制:監査役が単独で権限(調査権·差止請求権等)を行使できる制度
意思決定・監督体制
取締役・取締役会
議長:野崎 明(執行役員でない取締役会長)
任期:1年
人数:8名
2024年度開催実績:20回
2025年6月26日現在
取締役会は、当社事業の各分野に精通した当社出身者に加え、社内出身者とは異なる知識、経験、能力、見識等を有し、株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督することのできる社外有識者を招聘することにより、多様性を持った構成としています。
さらに、より透明性の高い経営を目指し、取締役のうち3分の1以上を独立した社外取締役とする方針としており、取締役8名のうち、経営者としての経験を持つ者を含む4名を独立した社外取締役として選任しています。
当社の取締役のうち、執行役員を兼ねる取締役は3名となっております。利益相反については日本法に基づいて対応しています。支配株主は存在していません。
取締役会では、サステナビリティ委員会における審議内容について定期的に報告が行われるとともに、年1回サステナビリティについて意見交換が行われています。2024年度には、外部環境を踏まえた当社サステナビリティ活動のリスク・機会とその対応について意見交換を行いました。また、内部通報制度の利用状況や対応状況についても定期的に報告されています。なお、苦情処理(救済)メカニズムとして、サプライヤー等外部から苦情を受け付ける窓口「一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)」に寄せられた苦情についても報告対象としています。
重大な懸念事項が発生した場合は取締役会に報告することとしていますが、2024年度に報告された重大な懸念のある事項はありませんでした。
取締役会が行うステークホルダー・エンゲージメントでは、顧客・取引先は事業部門、従業員は人事部、株主・投資家は広報IR部に権限を委譲して実施しています。
なお、投資家との対話状況については、広報IR部より年1回報告されています。
取締役会における主な議題
決議事項
- 2030年のありたい姿改正
- 各事業の既存・新規プロジェクト関連
- 各方針を含む重要規程等の制定・改定等
報告事項
- 政策保有株式の保有状況
- 機関投資家との対話内容
- 従業員エンゲージメントサーベイ結果
- 健康経営関連等
討議事項
- 中期経営計画関連
- 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
- サステナビリティの取り組み状況
- スキル・マトリックスの見直し
- 総合職人事制度改正関連
- 取締役会実効性評価
ガバナンス委員会
委員長:石井 妙子(社外取締役)
人数:5名
2024年度開催実績:5回
(指名:1回、報酬:2回、ガバナンスその他:2回)
2025年6月26日現在
執行役員でない取締役会長1名および独立社外取締役4名で構成され、取締役、執行役員等の指名や報酬の決定などのコーポレートガバナンス上の重要事項について、社長に対して客観的な立場から助言を行うことを目的として設置しています。
社外取締役の役割・機能
社外取締役には、アドバイザリー機能とモニタリング機能の2つを期待しています。アドバイザリー機能に関しては、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、自らの経験等を背景に当社の従来の考え方や枠組みにとらわれることなく助言および判断いただき、取締役会の意思決定の質が高まることを期待しています。モニタリング機能に関しては、独立した客観的な立場から、取締役会を通じて経営に対するチェック機能を発揮していただくとともに、ガバナンス委員会の委員として、取締役の指名や報酬等の意思決定に際し助言を行うことを通じて株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督していただきたいと考えています。
監査体制
監査役・監査役会
議長:野沢 剛志(常任監査役)
人数:4名
2024年度開催実績:17回
2025年6月26日現在
監査役数は定款で5名以内と定めております。現在、監査役は4名(常勤の監査役2名および非常勤の監査役(社外監査役)2名)で構成されています。当社においては、この監査役の構成は、監査役会の適切な運営を行ううえで適切な人数であると判断しています。当社出身の常勤の監査役は、社内の情報を的確かつタイムリーに収集し、これに基づき的確な監査を実施する一方で、独立社外監査役は、様々な専門知識や多角的な視点を活かした監査を実施することとしています。
監査役は、監査役会で決定した監査計画に従い、取締役の職務の執行等を監査しています。常勤の監査役は、監査方針および計画の案を策定し、取締役会等の重要な会議への出席、重要な決裁書類等の閲覧、代表取締役等へのヒアリング、事務所、工場、関係会社等への往査を行っています。当社の社外監査役は、常勤の監査役と同様、取締役会等重要な会議等に出席するほか、常勤の監査役と共に往査を行っています。また、監査役が往査した事業所や関係会社についての監査報告書は、代表取締役等にも供覧されています。
監査役会における主な議題
- 監査役監査計画(月次、年度)
- 監査役監査実績(月次、年度)
- 取締役会各議題内容確認
- 事業環境情報
- 監査役会監査報告書
- 監査役会実効性分析評価結果
社外監査役の役割・機能
社外監査役には、経営の健全性の確保および中長期的な企業価値の向上を図るため、常勤の監査役と十分な連携を行いながら、自らの財務・会計・法務をはじめとする専門分野の知見、経験等に基づき、実効的な監査を行っていただくことを期待しています。
また、監査の一環として取締役会をはじめとする重要な会議に参加し、意思決定の過程において、独立した客観的な立場から、提案内容の適法性のみならず、妥当性を含め、積極的に忌憚のない意見を述べていただくことを期待しています。
内部監査部門、会計監査人と監査役の連携
内部監査部門である監査部は、当社グループ全体を対象として業務執行の監査を定期的に行っています。
監査部は、監査役および監査役会に対しては監査計画の説明をはじめ、適宜情報を提供しています。一方、監査役も、監査役会で決定した監査計画を監査部に提供し、監査部の監査に立ち会うことがあるほか、執行役員や部門長に対する内部監査結果の報告会に同席しており、2024年度は20回出席しました。会計監査人は現在、有限責任あずさ監査法人が務めており、独立監査人として会計監査および内部統制監査を実施しています。会計監査人と監査役の間でも、監査役が監査計画を会計監査人に提供し、会計監査人から監査計画の説明、四半期レビュー報告および監査結果の報告を受けるなど連携を図っています。
社外取締役との連携
社外取締役・監査役連絡会の開催
経営から独立した立場である社外取締役と監査役間で定期的に意見交換を図り問題意識を共有するため、2021年度より実施しています。2024年度は8月と2月に開催し、監査役が重要と考える関係会社の事業の概要等について情報提供を受け、広く意見交換を実施しました。
その他
部門長ヒアリング等の実施計画は社外取締役にも共有しており、2024年度は、社外取締役も一部の部門長ヒアリング等に同席しています。
取締役・監査役に対するトレーニングの方針
取締役および監査役の研修は、個々人の自己研鑽を基本としますが、自己研鑽に資するよう、トレーニングの機会の提供・斡旋やその費用の支援を行います。
具体的には、新任の取締役、監査役および執行役員に対しては、就任時に役員の法的責任、コンプライアンスおよび法律知識に関する研修を実施します。また、取締役、監査役および執行役員その他を対象として、種々の社内研修を開催し、弁護士その他の社外有識者による講演等を通じて時宜に応じた情報の収集がなされるように努めます。そのほか、社外セミナーの紹介等、トレーニング機会に関する情報を提供します。
上記を含め、取締役・監査役および執行役員のトレーニングに要する費用は、当社が全額を負担します。
取締役候補者の指名および経営陣幹部の選解任の手続、監査役候補者の指名の手続
取締役候補者の指名にあたっては、社長が、当社が持続可能な発展をするうえで現在および今後の経営が向き合うべき課題(経済、環境および人々(人権を含む)に与えるプラスまたはマイナスのインパクトなどを含む)を解決するための最善の布陣について、候補者の知識、経験、能力、見識等を総合的に勘案し、執行役員でない取締役会長および株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督する独立社外取締役で構成するガバナンス委員会において助言を得たうえで、適任者を取締役会に提案します。取締役会は、提案を受け審議し、候補者を決定します。
執行役員候補者の選定にあたっては、社長が、各執行役員からの推薦を踏まえ、候補者の知識、経験、能力、見識等を総合的に勘案し、取締役候補者と同様の手続きを経て決定します。
なお、ガバナンス委員会において、次期社長を育成する環境や方法、候補者等について審議する機会を設けます。また、執行役員に不正・不当または背信的な行為があった場合など、著しく適格性に欠ける場合には、ガバナンス委員会において助言を得たうえで、取締役会の決議により解任できることとしています。
監査役候補者の指名にあたっては、社長が候補者の資質、財務・会計・法務に関する知識を含む知識、経験、能力、見識等について総合的に勘案し、監査役会の事前の承認を得たうえで、適任者を取締役会に提案し取締役会において決定する方針とします。
取締役(執行役員である取締役を含みます。)候補者または監査役候補者の指名の理由は、株主総会参考書類に記載します。
最高経営責任者等の後継者計画への取締役会の関与
当社では、最高経営責任者(取締役社長)の後継者計画は、経営理念や経営計画を踏まえて適切に策定し、実施されています。社長の後継者候補に関しては、執行役員でない取締役会長1名、独立社外取締役4名で構成するガバナンス委員会(委員長:取締役 石井 妙子)において、次期社長を育成する環境や方法、候補者等について審議する機会を設けています。具体的な社長の後継者の選定にあたっては、社長の推薦する候補者をガバナンス委員会に諮り、候補者が取締役社長に相応しい資質、知識、経験、能力、見識等を有するか助言を得たうえで、社長が最終案を取締役会に提案し、取締役会において審議のうえ最終決定しています。また、将来的な社長候補者のプールとなる執行役員候補者の選定にあたっては、社長が、各執行役員からの推薦を踏まえ、経営が向き合う課題解決のための最善の布陣について、ガバナンス委員会に諮り、その助言を参考に最終案を作成し取締役会に提案しています。これを受け、取締役会において審議のうえ最終決定しています。
取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性および規模に関する考え方
取締役会は、当社事業の各分野に精通した当社出身者に加え、社内出身者とは異なる知識、経験、能力、見識等を有する社外有識者を招聘することにより、多様性を持った構成とします。「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に記載している「取締役会のあるべき姿」を踏まえ、取締役および監査役のスキル・マトリックスを下記の通り作成しています。各スキル項目は、長期ビジョンや「2030年のありたい姿」の実現のために必要なものを中心に取締役会での議論を経て選定しています。当社取締役会に求められる知識、経験、能力、見識等は、経営戦略や外部環境の変化に応じて変わり得るため、必要な知識、経験、能力、見識等について取締役会で議論し、必要に応じてスキル・マトリックスを更新しており、第100期定時株主総会(2025年6月26日開催)前に、項目や充足の目安を改正しています。取締役会の規模については、取締役会の機動性を確保し活発な議論を行ううえで適切な人数とします。また、取締役のうち3分の1以上を独立した社外取締役として選任し、より透明性の高い経営を目指します。
- 各スキル項目の充足の目安を定めており、その詳細については「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の最終ページに公表しています。
取締役会のスキル・マトリックス
- 取締役および監査役がそれぞれ取締役会に特に貢献できると考える項目に●をつけています。
社外取締役・社外監査役
| 出席状況(2024年度) | 企業統治において果たす機能および役割 | |
|---|---|---|
| 社外取締役 石井 妙子 |
取締役会 19回/20回(95%) |
弁護士として特に労働分野をはじめとする豊富な専門知識と経験を有しております。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、自身の経験等を背景に特にコンプライアンスや人事・労務関連分野に関して助言をいただき、取締役会の意思決定に参加していただいています。また、独立した客観的な立場から、取締役会を通じて経営に対するチェック機能を発揮しており、ガバナンス委員会の委員長として、取締役および執行役員の指名や報酬等の意思決定に際し助言を行うことを通じて株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督していただいています。これらにより、取締役会の意思決定の質のさらなる向上を実現し、あわせて監督機能を充実していただいております。 |
| 社外取締役 木下 学 |
取締役会 18回/20回(90%) |
日本電気株式会社にて執行役員副社長等の職責を担い、会社経営およびデジタルビジネスに関する豊富な知識と経験を有しております。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、自身の経験等を背景に特に事業環境の変化が著しい材料事業やデジタル分野に関して助言をいただき、取締役会の意思決定に参加していただいています。また、独立した客観的な立場から、取締役会を通じて経営に対するチェック機能を発揮しており、ガバナンス委員会の委員として、取締役および執行役員の指名や報酬等の意思決定に際し助言を行うことを通じて株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督していただいています。これらにより、取締役会の意思決定の質のさらなる向上を実現し、あわせて監督機能を充実していただいております。 |
| 社外取締役 竹内 光二 |
取締役会 14回/14回(100%) |
味の素グループの半導体パッケージ基板用材料の研究開発に長年にわたって携わったほか、電子材料事業での実務経験を有し、また、その主要子会社では取締役副社長等の職責を担うなど、会社経営および機能性材料に関わる事業に関する豊富な知識と経験を有しております。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、自身の経験等を背景に、とりわけ研究開発や材料事業に関して助言をいただき、取締役会の意思決定に参加していただいています。また、独立した客観的な立場から、取締役会を通じて経営に対するチェック機能を発揮しており、ガバナンス委員会の委員として、取締役および執行役員の指名や報酬等の意思決定に際し助言を行うことを通じて株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督していただいています。これらにより、取締役会の意思決定の質のさらなる向上を実現し、あわせて監督機能を充実していただいております。 |
| 社外取締役 サワキ ニコラ ミシェール |
取締役会 ― |
国内外の監査法人における長年にわたる監査の経験および会計に関する豊富な知識を有しております。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、自身の経験等を背景に、特に財務・会計関連分野に関して助言をいただき、取締役会の意思決定に参加していただくことを期待しております。また、独立した客観的な立場から、取締役会を通じて経営に対するチェック機能を発揮していただくとともに、ガバナンス委員会の委員として、取締役および執行役員の指名や報酬等の意思決定に際し助言を行うことを通じて株主をはじめとするステークホルダーに代わって経営陣を監督していただきます。これらにより、取締役会の意思決定の質のさらなる向上を実現し、あわせて監督機能を充実させていただくことが期待できるため、社外取締役に選任いたしました。 |
| 社外監査役 若松 昭司 |
取締役会 20回/20回(100%) 監査役会 17回/17回(100%) |
監査法人における長年にわたる監査の経験および会計に関する豊富な知識を有しております。当社グループの経営の健全性の確保および中長期的な企業価値の向上を図るため、常勤の監査役と十分な連携を行いながら、自身の知見、経験等に基づき、特に会計分野で実効的な監査を行っていただいています。また、監査の一環として取締役会をはじめとする重要な会議に参加し、意思決定の過程において、独立した客観的な立場から、提案内容の適法性のみならず、妥当性を含め、積極的に忌憚のない意見を述べていただいております。 |
| 社外監査役 家田 嗣也 |
取締役会 14回/14回(100%) 監査役会 10回/10回(100%) |
金融機関における長年にわたる豊富な経験と会社経営に関する知見を有しております。当社グループの経営の健全性の確保および中長期的な企業価値の向上を図るため、常勤の監査役と十分な連携を行いながら、金融分野を中心とする自身の知見、経験等に基づき、実効的な監査を行っていただいています。また、監査の一環として取締役会をはじめとする重要な会議に参加し、意思決定の過程において、独立した客観的な立場から、提案内容の適法性のみならず、妥当性を含め、積極的に忌憚のない意見を述べていただいております。 |
- 社外取締役・社外監査役の兼職状況(2025年3月31日現在)は、第100期定時株主総会報告書(電子提供措置事項記載書面)に掲載しています。
独立性の基準
当社は、社外取締役および社外監査役全員を株主と利益相反の生じるおそれのない独立役員として届け出ています。なお、当社が定める独立性基準については、以下のリンクをご参照ください。
社外役員協議会
2016年8月より、社外役員(社外取締役および社外監査役)の情報交換・認識共有の機会を確保するため、社外役員のみが出席する懇談の場として社外役員協議会を開催しております。2024年度は8月および2月に開催し、当社のコーポレートガバナンス体制や議決権行使基準の最新動向等を踏まえた意見交換を実施しました。
取締役の報酬の基本方針と手続
基本方針
当社の取締役の報酬は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上ならびに経営基盤の強化、維持に資するインセンティブとして十分機能するよう、当社の事業構造を踏まえ、中長期の目標達成のためにモチベーションが上がるよう設計した、業績と連動した報酬制度とします。個々の取締役の報酬の決定に際しては、公平性を期すために、あらかじめ決められた計算式に則って報酬額を導き出すこととしており、各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針とします。
具体的には、取締役(代表権のない取締役会長および社外取締役を除く)の報酬は、基本報酬、賞与および株式報酬とします。基本報酬は、固定報酬(業績連動報酬等および非金銭報酬等のいずれでもないもの)および業績連動報酬等により構成し、賞与および株式報酬は業績連動報酬等とします。代表権のない取締役会長および社外取締役の報酬は、基本報酬のみとし、賞与および株式報酬は支給しません。
基本報酬は、個人ごとの年額を算出し月割りで毎月支給し、賞与は、定時株主総会で承認を得た後に、年1回支給し、株式報酬は譲渡制限付株式とし、賞与支給が決定した後に年1回株式を付与します。
「取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針」の内容の概要の詳細については、第100期定時株主総会報告書、コーポレートガバナンスに関する基本方針に掲載しています。
業績連動報酬等に関する事項
業績指標は、「連結業績(親会社の所有者に帰属する当期利益および税引前当期利益)」、「部門業績(ROCE(使用資本利益率)、フリーキャッシュ・フローおよびセグメント利益)」、「中長期的な経営戦略に沿って設定される個人目標の到達度」および「安全成績(労働災害の件数)」等を採用しています。
指標の選定理由
- 連結業績(親会社の所有者に帰属する当期利益および税引前当期利益)
企業経営の評価指標としており長期ビジョンにおいて会社が到達すべき利益目標としているためです。 - 部門業績
効率性、キャッシュ・フローおよび利益の絶対額という3つの基準でバランス良く評価するためです。 - 中長期的な経営戦略※に沿って設定される個人目標の到達度
持続的な企業価値向上の実現のためには、中長期的な視点で着実に計画を遂行していく必要があるためです。 - 安全成績
従業員の安全確保を経営の基本としているためです。
- 中計で掲げる成長戦略、競争力強化策、サステナビリティ向上策など
業績連動報酬等の金額の決定方法
業績連動報酬等の額は、職位別業績連動報酬等の額に個人別業績反映額を加えて算定します。
各算定方法の詳細は、第100期定時株主総会報告書(電子提供措置事項記載書面)「業績連動報酬等に関する事項」に掲載しています。なお、契約金または採用時インセンティブ、契約終了手当、業績連動型報酬返還(クローバック)制度、退職慰労金はありません。
経営陣の報酬のインセンティブ付け
当社は、当社の取締役(代表権のない取締役会長および社外取締役を除く)に当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的に、2025年6月26日開催の第100期定時株主総会において対象取締役に対し、新たに譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。
本制度に基づく対象取締役に対する譲渡制限付株式付与のための報酬等の総額は、本制度の目的を踏まえ相当と考えられる金額として年額30百万円以内とし、また、これにより発行または処分される当社の普通株式の総数は、年1.5万株以内としています。
監査役の報酬等の額の具体的な決定手続
監査役の基本報酬の額は、株主総会で承認を受けた報酬総額の範囲内において、監査役会における監査役の協議により、個別の監査役の報酬額を決定します。
役員の報酬等の総額
2024年度取締役および監査役の報酬
| 役員区分 | 報酬等の総額 | 基本報酬等 | 役員の 員数 |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 固定報酬 | 業績連動 報酬等 |
非金銭 報酬等 |
|||
| 取締役(社外取締役を除く) | 269百万円 | 235百万円 | 34百万円 | − | 7名 |
| 監査役(社外監査役を除く) | 68百万円 | 68百万円 | - | - | 2名 |
| 社外取締役 | 40百万円 | 40百万円 | - | - | 3名 |
| 社外監査役 | 25百万円 | 25百万円 | - | - | 3名 |
- 報酬等の総額が1億円以上の者が存在するときは、有価証券報告書において個別開示を行っています。
年間報酬総額の比率(2024年度)
| 組織の高額報酬受給者と全従業員の年間報酬総額の比率※1 | 741 |
|---|---|
| 組織の高額報酬受給者と全従業員の年間報酬総額増加率の比率※2 | - |
- ※1※1 組織の高額報酬受給者の年間報酬総額は、社内取締役の年間報酬総額(使用人給与を含む)÷員数で算出
年間報酬総額の比率は、組織の高額報酬受給者の年間報酬総額÷ 全従業員の年間報酬総額の中央値×100で算出 - ※2増加率の比率は、組織の高額報酬受給者の年間報酬総額の増加率÷全従業員の年間報酬総額の増加率の中央値×100で算出
取締役会の実効性についての分析・評価とその結果
当社取締役会は、適切な業務執行の決定および監督機能の向上の観点から取締役会の実効性を分析・評価しております。2024年度における結果の概要は以下の通りです。
1. 分析・評価のプロセス
取締役会は、外部評価者(法律事務所)の協力を得て、前年度の課題や社内取締役、社外取締役、社内監査役および社外監査役に関するカテゴリーごとの相互評価も含めた、取締役および監査役に対する質問票を作成しアンケートを実施しております。回答内容の集計およびその分析も外部評価者に委託しております。取締役会は、回答内容の集計結果、外部評価者による評価および2016年度に確認した「取締役会のあるべき姿(意思決定機能を重視した取締役会を志向していく)」に基づき、2025年2月の定時取締役会において取締役会の実効性について審議し、その評価と今後の対応について確認しました。
2. 分析・評価結果の概要
1)質問票への回答および外部評価者の分析・評価結果
- 取締役会の実効性に関わる大半の項目において高評価の回答が示されており、概ね取締役会は実効的に機能していると評価できます。
- アンケートにおいては、個々の役員が高評価としなかった項目についてその理由を記載できるようにしていますが、現在の体制・運営や従前の取り組みについて一定の評価をしたうえで、現状をより良くするための意見という側面が強いものが多くありました。
2)取締役会における審議
質問票への回答および外部評価者の分析・評価結果を踏まえ、以下の各事項について取締役会において審議を行いました。
- モニタリング機能をさらに充実させるためには取締役会のあるべき姿の見直しの要否を含め改めて議論すべきであるとの意見があり、2025年度の討議テーマとして取り扱うことも視野に入れながら、今後対応について検討することを確認しました。
- 株主・投資家からの評価・意見の分析と対応について取締役会において今まで以上に議論すべきであるとの意見があり、投資家等の評価・意見への対応、ひいては資本市場での当社の評価を高めるために必要となる対応に関してより審議を充実させることを確認しました。
- その他の事項として、議案の審議に資する定量的な情報のさらなる充実等について確認しました。
3. 今後の対応
当社取締役会は、上記事項について今後継続的に取り組むことにより取締役会の実効性をさらに高めていくことを確認しました。
監査役監査および監査役会の実効性についての分析・評価とのその結果
当社の監査役会は、監査役監査および監査役会の実効性を確認し、向上させることを目的として、その実効性の分析と評価を行っています。2024年度における結果の概要は以下の通りです。
1. 評価プロセス
外部専門家(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業)に独立・客観的な立場からの分析・評価を委託し、a. 全監査役に対するアンケート、b. 全監査役に対する個別インタビュー、c. 外部専門家の評価結果および指摘事項を踏まえた監査役会での議論を実施しました。
2. 分析・評価結果の概要(総評)
外部専門家からは、以下の点を含む監査活動に鑑み、「充実した監査活動が行われている」との総評を受けました。これも踏まえ、監査役会としましても、監査役会は有効に機能しており、監査役監査は実効性を有していると評価しました。
- 各監査役が、取締役会等の重要会議への出席、代表取締役を含む執行側へのヒアリング、各拠点・関係会社への往査を中心に監査を行うとともに、経営層・部門長・各往査先等に対し、必要な意見表明、指摘を行っている。特に、社外監査役も、これらの往査等に常勤の監査役と同様に参加しており、他社の社外監査役に比べても相応の負担のもとで監査活動に従事している。
- 監査にあたり、監査役の独任性の観点から社外監査役を含む各監査役がそれぞれ各拠点・関係会社を自らの目で見て、現地の責任者等と直接コミュニケーションをとることを重視している。
- 2023年度監査役会実効性評価の結果を踏まえ、監査役会とは別に監査役ミーティングを開催するなど、監査役会の実効性向上に向けて可能な改善にも取り組んでいる。
3. 課題および課題に対する今後の主な取組事項
外部専門家からは、上記総評を前提としつつ、監査活動の一層の充実を図る観点から、課題の指摘がありました。それを踏まえ、監査役会として今後取り組んでいくことを確認した主な課題および、その取組事項は以下の通りです。その他の諸課題についても引き続き検討していきます。
- 監査役間の情報共有・連携に関する事項
社外監査役が、社内会議に参加する前に、背景事情等を十分に把握しないまま大量の社内資料を読み込み、理解する負担や、議題のポイントの共有を事前に受け、把握することへのサポートについては、改善の余地がある。今後は、社内意思決定資料等のより積極的かつ早期の提供を行うとともに、取締役会等の重要会議の事前・事後の適切なタイミングにおいて、質疑応答・補足説明の場を設けることを検討する。 - 関係会社監査役との情報共有に関する事項
グループ・ガバナンスの観点から、子会社のリスクを把握および監督することが重要である。常勤の監査役が隔月開催の関係会社監査役の連絡会等に出席することで得た情報は、引き続き社外監査役にも共有する。また、詳細な個別業務や書類の監査を担っている監査部から、関係会社の実務的な問題点についてより積極的に情報提供を受けることを検討する。 - 新任監査役のサポートに関する事項
新任の監査役(特に社外監査役)就任時に、当社事業の理解向上策の実施を検討する。
監査役および監査役会は、今後とも監査活動の実効性の向上を図り、当社グループの経営基盤の強化および企業価値の向上に貢献すべく努めてまいります。
業務執行体制
当社は、定款の規定に基づき、執行役員制度を採用しています。取締役会は、法令および定款に従い、社長や執行役員に対して業務執行の決定を委ねるとともに、社長や執行役員の職務執行の状況を監督しています。
執行役員制度
執行役員に対しては、権限と責任の明確化と大幅な権限委譲を行い、執行機能を強化しています。
現在、執行役員は、20名(うち取締役兼務者3名)で構成され、事業部門長、本社部室長等、重要な職位の委嘱を受け、固有の権限を付与されて、その業務を執行しています。
また、執行役員は、業務執行の状況について、毎月1回執行役員会議において報告することとしています。
執行役員の報酬についても、取締役と同様に、業績連動報酬制度を導入しています。なお、具体的報酬額の決定にあたっては、ガバナンス委員会において助言を得ることとしています。
経営会議
経営会議は、社長および専務執行役員その他関係執行役員等を構成メンバーとしており、取締役会長、社外取締役および監査役も出席することができます。
経営会議は、取締役会決議事項および社長決裁に該当する重要事項のうち慎重な審議が必要な事項について、広い観点から審議を行い、取締役会への上程の可否を決定するとともに、社長による決裁を支援する機能を果たしています。
投資や出資の際には、差別、強制労働、児童労働といった人権問題や、政治制度、経済、治安、地域特有の疾病、労務問題、宗教上の制限、地元社会への影響等のリスクに関して、プロジェクトリスクチェック表を用いて経営会議をはじめとする各種会議体で審議を実施しています。
サステナビリティ委員会および内部統制委員会
当社は、社会および環境に関する活動をサステナビリティ推進活動として体系化し、当社グループに展開しています。本活動を推進するために、サステナビリティ委員会(委員長:社長)を設置しています。
サステナビリティ委員会の下にサステナビリティ部会、マネジメントシステム分科会、企業価値向上戦略会議、DX推進委員会およびカーボンニュートラル推進委員会を設置しています。
また、当社グループにおける内部統制システムの構築とその維持、改善を図るために、内部統制委員会(委員長:社長)を設置しています。
政策保有株式
当社は、事業戦略を進めるうえで、中長期的に事業基盤の強化につながると判断される場合、株式を政策的に保有することがあります。現状保有している政策保有株式については、毎年取締役会において、その保有目的や保有に伴う便益が資本コストに見合うものであるか等について検証を行っています。検証の結果、資本コストに見合わなくなった銘柄や、最近の事業の変化等によって事業関連性が希薄になってきたと判断される銘柄等、保有意義に乏しいと判断された銘柄については縮減を前提とした具体的検討を進めることとしています。また、当社の株式を政策保有株式として保有している会社から当社株式の売却等の意向が示された場合に、取引の縮減を示唆することなどにより、当該売却等を妨げることはありません。
政策保有株式の議決権行使については、発行会社の業績等の経営状況を踏まえたうえで、各議案が発行会社の中長期的な企業価値・株主利益の向上につながるか、当社の企業価値・株主利益にどのような影響を与えるか等を総合的に勘案し、各議案への賛否を判断します。当社は、各議案への賛否を判断するため、必要に応じて各議案の内容等について発行会社と対話を行います。また、発行会社に重大な不祥事があった場合や一定期間連続で赤字である場合などには慎重な判断を行います。
なお、中期経営計画2027において、政策保有株式について、2028年3月末までにPT Vale Indonesia Tbk(PTVI)株式を除き連結純資産比率10%以下を目指して縮減を進めていくこととしており、2028年度以降はPTVI株式を含み連結純資産比率10%以下を目指すこととしています。
PT Vale Indonesia Tbk との関係
当社は、インドネシアのPT Vale Indonesia Tbk(PTVI)の株式の11%を保有し、同社の共同運営を行う株主間契約を、カナダのVale Canada Ltd およびインドネシア国営企業である PT Mineral Industri Indonesia(Persero)と締結しています。またこの3社にPTVIを加えた4社による生産物を購入する権利・義務に関する契約を締結しています。これにより、当社は、PTVIのソロワコ鉱山の合意した年間生産量についてその20%を購入する権利・義務を保有しています。
同社が2026年以降も操業を継続するために必要な鉱業事業許可をインドネシア政府から取得するための条件の1つとして同社に対するインドネシア資本の出資比率を51%以上に引き上げる必要があります。そのため、当社は、2020年度において同社株式の一部を売却(持分法適用会社から除外)、2024年度にも同社株式の一部をインドネシア資本のPT Mineral Industri Indonesia(Persero)へ売却しました。
保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有状況
(みなし保有を含む「非上場株式以外の株式」)
- ※12020年度については、PTVIが持分法適用会社から除外になったことにより、保有銘柄数は1銘柄増加しています。
- ※22023年度については、Nano One Materials Corporationの株式を取得したことにより、保有銘柄数は1銘柄増加しています。