地球環境保全

尾鉱ダムの管理

操業している尾鉱ダムの管理

Global Tailings Review(GTR)は、2020年8月にGlobal Industry Standard on Tailings Management(尾鉱ダム管理国際産業規格:GISTM)を策定しました。国際金属・鉱業評議会 (International Council on Mining and Metals:ICMM)はGISTMの遵守をコミットしており、 当社はICMMのメンバーとして、規格への対応を進めています。
当社グループが管理する国内休廃止鉱山、フィリピンのCBNCおよびタガニートHPAL (THPAL)で管理している尾鉱ダムでは様々な重大環境事故を防止する施策を徹底しています。
2023年度は、GISTMの規定に基づきリスクの高い尾鉱ダムの情報を開示するとともに、環 境保全部会の下にワーキンググループを設置し、GISTMの遵守に向けた活動を行っています。
2024年8月1日付でGISTMに基づく「住友金属鉱山グループ尾鉱ダム管理方針」を策定し、 ガバナンスと推進体制、原則、経営資源の配分、協働、緊急事態への準備と対応およびレビュー と開示に関する指針を明示しました。この中で、尾鉱ダム管理の活動を実施するために必要 となるリソースの確保、コミュニティを含めたステークホルダーとの協力、尾鉱ダムの計画から 廃止後までのライフサイクル全般にわたるリスクや環境への影響の軽減に対処すること、およ び当社が出資する鉱山等の尾鉱ダムの安全管理について支援することを約束しています。

リハビリテーション

CBNCとTHPALは電気ニッケルや硫酸ニッケルの中間原料を生産しています。尾鉱ダムでは、 生産プロセスで出る残渣(鉄分を多く含んだスラリー状のもの)を無害化処理した後に、一旦 貯留させ水分と固形分に分離し、その固形分を堆積させています。
CBNCには3つ、THPALには1つの尾鉱ダムがあり、CBNCの1つ目の尾鉱ダムは満杯となり、 役目を終えたため、自律した持続可能な生態系の確立を目的として、リハビリテーションを行っ ています。また、単に緑化するだけでなく、農業などの生産活動の場としても活用できるように、 野菜やフルーツなどの栽培も行っています。これらの作業には多くの地域住民・先住民が携わっ ており、リハビリテーションは地域の雇用の創出においても重要な役割を果たしています。なお、 定期的にモニタリングを行い、尾鉱ダムのライフサイクル全体を通して安全にかつ有効に管理 されていることを独立した機関および関係者の間で確認しています。

休廃止鉱山の管理

当社では下表の国内9カ所の休廃止鉱山およびそれらに属する集積場を管理しています。
坑廃水は鉱山の坑道および鉱山の操業時に尾鉱等を積み上げた集積場から発生し、主に 酸性を示し、重金属を含有するため、水処理施設で適切に処理後、放流しています。
集積場については、2011年の東日本大震災を契機に見直された法律上の管理基準に基づ く評価を実施し、基準を下回った11の集積場に対し、2018年までに累計約45億円を投じて 補強工事を行い、すべての集積場で基準を満たしています。
また、近年の自然災害の甚大化に対応するため、各拠点では最大3日間の外部からの給電 停止、交通遮断に備えた非常用発電設備の設置等を2023年度までに完了しました。
今後も、休廃止鉱山を確実に管理するとともに、設備やインフラの強化・改善を行っていき ます。

■ 休廃止鉱山管理の体制
鉱山名 所在地 休止・廃止年月
鴻之舞鉱山 北海道 1973年10月
北見鉱山 北海道 1963年10月
余市鉱山 北海道 1963年10月
国富鉱山 北海道 1945年3月
大宮鉱山 福島県 1950年6月
八総鉱山 福島県 1970年10月
佐々連鉱山 愛媛県 1979年7月
別子鉱山 愛媛県 1973年3月
大口鉱山 鹿児島県 1977年9月