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プロジェクト紹介
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リチウムイオン電池正極材
「L3」開発プロジェクト

団結

一人ひとりの技術、
そして想い。
すべてを懸けて、革新の価値を。

Project Member
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    技術系

    笹岡 英雄

    電池材料事業本部DKP推進室(磯浦)
    1992年入社 工学部冶金学科卒

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    技術系

    小田 周平

    電池材料事業本部磯浦工場電池二課
    2002年入社 総合理工学府量子プロセス理工学専攻修了

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    事務系

    杉田 俊也

    電池材料事業本部営業原料部(名古屋)
    1994年入社 工学研究科建築学専攻修了

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    技術系

    相田 平

    技術本部電池研究所(市川)
    2012年キャリア入社 工学部材料工学科卒

コンパクトカーの
新たな世界基準。
その環境性能に貢献する。

美しいインテリアデザインに、最先端の安全性能、そして、世界最高レベルの低燃費・環境性能……。トヨタ自動車の新型車ヤリスは、これまでのコンパクトカーの常識を覆し、新たな世界基準を打ち出した。そのハイブリッド車に搭載されたリチウムイオン電池に採用されたのが、住友金属鉱山が生産する正極材・ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)「L3」だ。

リチウムイオン電池において、正極材は電池の高性能化・高容量化のカギを握る重要な素材だ。世界的に環境規制が強化される中、高性能な二次電池の開発・供給に対する期待はますます高まっていると言える。同プロジェクトは、トヨタ自動車にとっても、きわめて重要な意味を持つものであり、社会の要請に応える意義深いものだったと言える。住友金属鉱山のメンバーたちは、その重責にいかに向き合い、課題をクリアしていったのか。彼らのチャレンジに焦点を当てていく。

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環境性能に優れた
ハイブリッド車を
より多くの人々に。

住友金属鉱山は、20年余りにわたって、トヨタ自動車と協働し、ハイブリッド自動車等の電動車用の二次電池向け正極材を開発・製造してきた。同プロジェクトが発足したのは2014年。「L3」の前身である「L2」の生産に目途が立ったタイミングでのことだった。営業担当を務める杉田は、その経緯をこう話す。

「ハイブリッド車はガソリン車に比べ、バッテリーの分どうしても車両価格が高くなる。補助金を利用しても、まだまだ社会に普及するためには大きな壁となっていました。そこで、トヨタ自動車様からいただいた要望は、より高出力な性能をより安価なコストで実現すること。相反する2つの価値を同時に実現するのは決して簡単なことではありませんが、当時のメンバーたちは『環境性能に優れたハイブリッド車をより多くの人々へ』というお客様の想いに応えたいと意気込んでいたと思います。」

新たな正極材料の開発を担当したのは、電池研究所の相田。プロジェクトの発足と同時に、トヨタ自動車との協働による技術検討・企画に参画した。泊まり込みで合宿が行われるなど、その熱の入りようはすさまじいものがあったという。

「ポイントは正極材の組成、物性の最適化を図ること。合宿で大まかな方向性を定めた後で、さまざまな技術を提案し、評価試験を繰り返していきました。『L2』に採用していた粒子内部構造を自由に制御する技術に、添加元素をより効率的に機能させるための改良を加え、従来製品を上回る出力性能を実現することができました。」

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大量生産できない。
最大の壁に
チーム一丸で挑む。

2年超の開発期間を経て、「L3」は量産に向けたスケールアップの段階を迎えることとなった。開発担当の相田と協働しながら、製造プロセスの設計を担当したのは磯浦工場の笹岡。しかし、彼は、ここで大きな壁に直面することとなる。彼は当時の苦悩をこう振り返る。

「高出力を実現すると、大量生産が難しくなる。それが、本プロジェクト最大の壁でした。コストを下げるために、装置を大規模にすれば、粒子を均質に保てなくなる。相田さんら研究チームのみならず、操業チームメンバーも巻き込み、議論を交わし、お客様の理解を得ながら、チームでその課題に向き合っていきました。いくつもの案を試し、何とかスケジュール通りに量産できた時は、本当に嬉しかったですね。」

ただ、困難はそれだけでは終わらなかった。ものづくりにトラブルはつきもの。製造段階において、想定通りの生産量をなかなか実現できない状況が続いていた。本プロジェクトではコスト削減の解決策として、一部の製造工程をパートナー企業に外部委託していたが、思うように生産が進まなかったのだという。生産とそこに関わるマネジメント業務を任された小田は、重圧と闘う日々を過ごしていたそうだ。

「生産スケジュールが遅れれば、トヨタ自動車様の車づくりがストップしてしまうことになる。これまでにないほどのプレッシャーを感じていました。原料の見直し、プロセスの調整、パートナーの生産改善に取り組み、順調に生産が進むようになったのは、生産開始から半年が経過したころ。毎日が必死で、達成感に浸る余裕もありませんでした。」

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かつてない喜び。
その時、目の前には
仲間たちがいた。

2020年2月10日。トヨタ自動車のヤリスは発売を開始した。社会に与えたインパクトはすさまじく、わずか1か月で受注台数は3万7,000台超。コロナの影響をものともせず、好調なスタートをきった。人々の心をワクワクさせる車に自分たちが開発した製品が採用されている。環境性能に貢献できている。その事実は、彼らにとって、この上ない誇りとなっている。

「お客様のビジネスが好調であること。それが、営業としての最高の喜びです。たった一つの素材かもしれませんが、そこに貢献できていることを誇りに思います。お客様の期待に応えることができたのは、チーム全員の力があってこそ。さらに多くの車種にこのバッテリーが搭載されたら、それ以上に嬉しいことはありません。」(杉田)

「さまざまな課題に直面したプロジェクトでしたが、チームのありがたみ、素晴らしさを再認識する機会になりました。ひとりで悩み続けた開発期間は、苦しさばかりを感じていましたが、スケールアップの段階以降は、同じ目的を抱いた心強い仲間たちと、共に挑み、成し遂げる喜びがありました。私一人では思いつかなかったこと、実現できなかった価値がたくさんありましたから。」(相田)

「時には激しく意見をぶつけ合うことも、お互いが意固地になることもありました。けれども、こうした結果を得られて本当によかったと思います。切磋琢磨しながら、自分をどこまでも高めていける。住友金属鉱山という会社の素晴らしさや、仲間というかけがえのない存在を再認識しています。」(笹岡)

「このプロジェクトを通じて、ひとつの製品を世に送り出す大変さを知りました。そして、企業の垣根を越えて、共に頭を悩ませ、一生懸命になれる仲間を見つけました。苦労の末、喜び合った瞬間は、生涯忘れることのできないものだと思っています。」(小田)

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